農業LABブログ

なんとなく勉強した感じになるブログ

【実験】リキダス散布でコネギの再生試験【21.12.12版】

タイトルの通り、家庭菜園で6月くらいからコネギを作っては消費していたので、

全体を切り戻すタイミングで資材の試験をしてみました

 

背景

今回、気になっていた資材はこちら『リキダス(ハイポネックス社製)』

ハイポネックスが少し眉唾な商品を出したなぁと思っていたので、購入して使用してみることにしました

入ってる成分や説明からストレスがかかった時に使うような資材と判断しまして、低温・切り戻しストレスがかかるタイミングで断続的に使用してみます

 

材料と方法

リキダスについて

100-1000培で使用する活力液という触れ込みの商品

多分、家庭園芸用で少量ロット(160‐800ml)だけの販売かな

実際に購入したものがこちら

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コリン・フルボ酸・アミノ酸・カルシウム・微量要素が入っているそうです

液体は少し黄色がかった透明の液で酢酸臭がします

HPみたら酢酸は有効成分で入っているとのこと

 

試験条件

試験の条件は以下の通り

栽培地:関東

定植:6月上旬定植

切り戻し回数:2回(試験開始時で3回目)

試験開始時期:21/11/14

栽培面積:1.5m2

施肥:試験開始時期に以下の通り

マグアンプK:25g(全面にばらまき)

花工房:500倍希釈液、500ml/畝で散布

リキダス:500倍希釈、500ml/畝で散布、11/14から毎週散布

 

散布は蓄圧式のスプレーを使用

↓ちょっと違うけどこんなやつです

(手押しの霧吹きじゃ500ml散布はつらいので...)

 

試験開始時の栽培作物の状況

11/14の状況は以下の写真のような状況です

大体7cm程度にネギの葉をはねて再生開始です

試験区は写真に入っている通りでリキダス散布と無処理(なにもしない)の畝で分けました

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途中経過

株の生育を見ていくとこんな感じです

少し、リキダスを処理している方が大きくみえますね

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草丈の推移も以下のようで、リキダスの処理で少し再生速度が速いようなデータになっています

今のところの推測は

1. 冬季の低温化でアミノ酸を吸収して光合成が効率的に行われた結果

2. 乾燥耐性が酢酸によって上昇し、光合成が効率的に行われた結果

3. コリンによって根張りが良くなり、養分吸収が増加した結果

4. 上記4点の複合作用

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線虫診断もしてみました(散布開始から4週間) なぜかリキダスを散布している方で2種類の線虫密度が低い結果になっていました

こちらも仮説ですが

1. 酢酸による直接的な殺線虫効果

2. 植物が酢酸の刺激を受けてジャスモン酸を合成、線虫に対する耐性が上昇

3. 上記の効果の複合作用

などがあるのかな?と思っていますが、線虫の密度自体がバラツキが多いものなのでまだまだ確信にはいたっていません

酢酸の効果については以下です やさお酢を散布して同じような現象が起こるか観察してみれば何か分かるかもしれないですね

ppn-lab.hatenablog.com

 

 

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【趣味】カメムシの卵の殻に生えたカビ

今日は庭木の葉裏にカメムシの卵が産みつけられて、ふ化した後の殻にカビが生えていたのを見つけたので、撮影してみました

 

カメムシの卵はたまに見るのですが、カビが中に詰まってるのは初めてだったのでちょっと興奮しました

 

葉の裏に産み付けられた卵の殻

なんとなく、殻の中にカビが生えているのが分かりますね

撮影機材はOlympus TG-5にディフューザーを装着したもの

若干、手振れしてしまってるのが悔やまれます...

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こちらは生物顕微鏡で照明を上から当てて撮影

意外と殻の中にみっしり詰まってますね

使用機材はAmscopeの生物顕微鏡にUSBカメラを追加して撮影(倍率:40倍)

照明はフレキシブルアームの譜面ライトが使いやすいので愛用してます

屋外のマクロ撮影で光量が足りない時にも活躍してくれますf:id:PPN_LAB:20211128201238j:image

 

 

 

さらに拡大してみると、光を反射して菌糸がキラキラしてるのが分かります

なんとなくコケリウムを連想させる写真ですが、カメムシの卵に生えたカビです 笑
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↓コケリウムイメージはこれです なんとなく卵の殻が器として、カビがあふれ出るコケのようで綺麗な仕上がりの写真が撮れました

 

コケリウムも挑戦してみたいのですが、お手入れとか温湿度管理が大変そうでなかなか手が出ないなぁ... 意外と簡単なんだろうか。。。

【解説】土壌改良材ってなんだ

以前に農業資材の記事を書きましたが、こちらには土壌改良材は入れてませんでした

ppn-lab.hatenablog.com

 

土壌改良材は上記ブログで取り扱った資材の中では立ち位置が曖昧であえていれてませんでした

 

今回は土壌改良材について業界の裏話も含めて書きたいと思います

 

 

土壌改良材とは何か?

オフィシャルには農林水産省が定義づけた以下の表の品目が該当します

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これらは法律があって「地力増進基本法」という法律で定められています

しかしながら、上記カテゴリに含まれない土壌改良材も多く販売されており、農林水産省は「土壌改良材の協議会HPを参考にしてね!」ということも資料中に記載しています

japan-soil.info

 

肥料・農薬と土壌改良材の違いは?

肥料は「肥料の品質の確保等に関する法律(旧 肥料取締法)」

農薬は「農薬取締法

によって規制されています

・肥料:主に植物の栄養素を含む物質に対しての規制/保証

・農薬:病害虫や特定用途のホルモン剤の安全・効果を規制/保証

する法律になります

ここで、土壌改良材は「地力増進法」によって取り締まりがされているのですが、上記のふたつほどキチンとした規制ではないなぁと個人的には思います

 

土壌改良材は安全なのか?

品質規格には原材料を明記することが義務付けられていますが、安全性に関する検査や分析などはありません

問題が起こるとその都度、検査して問題がないか対応しているのが現状かと思います

以下にその事例を挙げます

 

バーミキュライトアスベスト問題

10年位前だったと思いますが、土壌改良材・園芸用のバーミキュライトアスベストが混ざってるかも!として問題になりました

www.maff.go.jp

 

国内の製造メーカーに対してはアスベストの分析をして安全性を確保したとのことです

ただ、企業で輸入している場合や個人で輸入している場合もあり、こういった場合に粗悪なバーミキュライトが入ってきているのでは?と疑問に感じたのを覚えています

検査済みの企業も公表されていますので、その企業が製造しているバーミキュライトを購入するのが良いでしょう

ただ、製造元と販売会社が別の場合があるので確認が難しいかも知れません

 

プロトリーフという会社は自社で取り扱うバーミキュライトアスベスト問題に触れているので、産地にこだわりが見えます

tsuchi.blog.protoleaf.com

 

「ころしやくん」問題

特殊肥料に農薬成分を混ぜ込んだ新製品「ころしやくん」を販売したとして問題になりました

https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_sizai/attach/pdf/index-1.pdf

こういった形で農薬疑義資材として土壌改良材が摘発されることもあります

ただ、これは農薬の安全性の観点と農薬メーカーの権利確保が目的なので、土壌改良材自体の安全性を追求するものではないと考えています

(資材のネーミングセンス...笑)

 

土壌改良材の効果は保証されてるのか?

効果は保証されていません

農林水産省が指定した資材については一般的に言われている効果を記述していますので、参考情報にはなるかと思います

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_20.pdf

 

ここで思うのは、「なんで農林水産省は土壌改良材に触れてるのに効果の保証をしないんだ!」ということですが理由があります

 

肥料であれば10aあたりの施肥基準が作物ごとに設定されています

農薬であれば希釈倍率や使用量・回数、対象となる病害虫が設定されてます

 

土壌改良材は大まかに「土壌を良くする」という目標しかないので、対象が曖昧で何をどれくらい、どのタイプの土に使えば効果が出るかを定義づけられないのです

 

ただし、各資材の規格があり、2021年の12月に一部改正があります

これも効果の保証ではないものの、粗悪品をある程度排除することが出来るので、品質の確保には役立っていると言えます

 

裏話~土壌改良材から肥料にクラスチェンジ!~

これまで書いてきたように、知ってる人は「土壌改良材ってなんか怪しいなぁ...」と思う人もいるでしょう

しかし、土壌改良材を肥料として登録すれば肥料品質確保法を通過したことになります

肥料として登録できると製品としてワンランク上がります(か分かりませんが私からはそう見えます)

では、何をしているかと言うと、土壌改良材に肥料成分を入れて保証しているだけです

ここで錯覚するのは、なんとなく土壌改良材の効果も保証してくれてる気になることです

肥料はあくまで肥料成分(N, P, K, Ca, Mgなど)を保証するものですから土壌改良材の効果については問題になりません

ただ、資材によっては肥料登録する際に植害試験というコマツナのポット栽培試験を通過しているものもあるため、検査なしの土壌改良材よりかは作物への安全性について検査されることになります

 

同じような腐植酸資材であっても

↓こちらは土壌改良材

 

↓こちらは肥料

 

のように製品表示が違います

 

まとめ

最近だと土壌改良材として定義されていたものが、バイオスティミュラントと謳われたり、肥料成分を混ぜて肥料として販売されるなどカテゴリーがごちゃごちゃと混ざり合っていてカオスです

土壌改良材自体は効果を保証しないものの、土壌物理・化学性改善や作物の生育を補助してくれるものもあるので、生産者の方が独自に使用方法を試して農法に組み込んでいるケースを見ます

資材の特性や理解、利用方法を生産者に委ねているという意味で面白いカテゴリーであるとともに使用に悩むものでもあります

研究としては色々な資材が出てきて面白いのですが、アドバイスを求められると困りがちなので、皆さんでも色々と試してみてください

個人的には農薬メーカーや大手が出してる資材は評価のノウハウや安全性へのこだわり、潤沢な開発環境のもとで開発されてるので良いのかなと思います

 

↓農薬メーカーのアリスタライフサイエンスが開発した「トリコデソイル」

 

↓出光興産がだしている菌根菌資材「ドクターキンコンシリーズ」

作物ごとに定着しやすい菌を使用している(と思う)

【試作】秋作の大根-ネグサレセンチュウ防除体系

Twitterの質問箱に大根のネグサレセンチュウ防除の話がきたので、個人的に防除体系を組んでみました

 

↓ どんな被害が出るかは下記のリンク

主に肌荒れの症状で商品価値が下がります

水ぶくれ+中心に褐変が出来て白い大根の肌が汚く見えてしまいます

www.jppn.ne.jp

 

 

今回の質問者の方が春大根か秋大根か分からないので、とりあえず秋大根の栽培時期を例に防除体系を組んでみました

 

↓秋大根の栽培時期

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↓ ちなみにネグサレセンチュウ

  写真右上が頭部で太い口針が見える

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体系に組み込んだ主な資材

緑肥

マリーゴールド:有名な線虫対策用の緑肥 花も付くので景観用にも良いのですが、花がオオタバコガを誘引するので最近は花がつかない品種を用います ネグサレセンチュウ以外にも効果を発揮します

 

エンバク野生種:こちらも有名ですが、品種によってネコブセンチュウ専用だったり、ネグサレセンチュウ専用だったりするので選定が重要です

 

農薬

キルパー:季節に関係なく線虫やその卵を死滅させる効果があるとされるくん蒸剤です

 

粒剤:播種前に土に混ぜて使用します 栽培期間中に渡ってネグサレセンチュウの動きを封じてくれるはず 大根のネグサレセンチュウに登録のあるものをピックアップ

 

肥料・土壌改良剤

キチン系資材:線虫や卵は体の組成成分にキチンを含んでいますので、キチンを分解する菌のエサを入れて増やせば、線虫を倒してくれる!と期待して入れる資材

昔ながらのカニガラから低分子化されたキチンの液剤まで色々ある(どれが良いのかは正直分からない)

線虫に対してすごい効果があった!というのはあまり聞いたことがないけど、他の土壌病害を抑制することや植物にストレス耐性が付くことが報告されてるので、色々な効果を期待して、とりあえず撒いてみる価値はある

 

オカラ・コーヒー粕堆肥

神奈川の三浦(ダイコン産地)でネグサレセンチュウの抑制に実績がある資材 市販のものはあまりなさそうなので手に入れば撒いてみる程度で考える資材

 

慣行防除

薬剤中心にして緑肥も組み込んでみました

 

1. GWあたりからマリーゴールドの緑肥

品種は絶対にエバーグリーン 花がつかないのでオオタバコガを誘引しないというメリットがあります

 

2. 播種前には粒剤を中心にして1年ごとに有効成分の違うものをローテーションで使用

 

3. 栽培後には寒くても効果の出るキルパーで増えた線虫をリセット

↓ 詳しくは過去ブログを参照下さい

ppn-lab.hatenablog.com

 

1.に戻ると言った体系です

 

これは効きそう!!

というか、これで被害を抑えきれなかったら現状お手上げな気がします

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減農薬防除

薬剤を使わないハードモードの体系です

正直、防除できるかの半分は土と運に任せてる気がします

 

1. 秋大根栽培後にキチン系資材を土壌へ投入

 

2. キスジハムシが気になるときはエンバク(品種:ネグサレタイジ)

 ネグサレセンチュウだけで良いときはマリーゴールド(品種:エバーグリーン)

 栽培前の土壌改良でキチン系資材を投入

 入手できればおから・コーヒー粕堆肥を投入

 

3. 栽培中に低分子キチン液剤の散布もしくは潅注

 

キチンが線虫に効くとは聞きますが、劇的な効果があったとの報告は見たことがないので、使用する土壌によって効果は左右されると思います

 

おから・コーヒー粕堆肥は神奈川三浦で実績があるようですが、これも使用する土壌によって効果が左右されることが予想されます

 

なので、キチンや堆肥は土壌改良効果を主目的とした気長な土づくりと思ってください

 

体系を組んでみましたが、ほぼ緑肥頼みになってしまいます

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[rakuten:auc-nouenn:10001809:detail]

う~んカニガラ資材(キチン系資材)はどれが良いのか分からないですね...

 

 

大根に聞いて対策を変えるフレキシブル防除体系

少し複雑になりますが、これが一番現実的というか無駄がないかなと考えています

そもそも上の2つは春作でお金になる作物を何も栽培しないという問題があります

 

1. 秋大根を一作します

 

2. その大根の収穫で

 被害が大きい→キルパーで消毒→(春作は捨ててマリーゴールドで防除)

 被害が小さい→カニガラ入れて春作の作物を植える

 

3. 前作の大根被害の大小に関わらず、畑の一画で少しだけ春大根を栽培する

 春に少しだけ栽培した大根の被害度が...

 大きい→農薬で防除

 小さい→カニガラだけ使用しておく(もしくは対策なしでいく)

 

 という大根に直接被害状況を聞いてみて人が意思決定するという体系です

 ()内は生産者の方の匙加減ですが、実施した方がリスクは下がるかなと思います

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緑肥を使わないと少し不安なんですが、緑肥を使うと春作が出来ないというジレンマ うーん質問をいただくあって難しい

今回の記事を見て、何か妙案があれば教えていただきたく、よろしくお願いいたします

 

 

畑地の雑草 小さな花写真

以前、ブログで紹介したオリンパスのTG-5でマクロ撮影してきました

そろそろ雑草の花も減ってくるので、撮り納めかな~

見るたびに撮ってるんですが、飽きないですね

 

 

カタバミ

撮影日:2021/11/21

噛むと酸っぱいらしい

大体、こんなサイズ感の花をマクロで撮影してます
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ナズナ

2021/11/21撮影

春の草のイメージですが、秋にも咲くんですね

種を包む皮はハート型を思わせる可愛らしい形をしています

若葉は薬草として食べられるらしいです、春の七草のひとつ
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ハコベ

2021/11/21撮影

もうだいぶ寒くなってきたけど、花粉出てますね

好きな雑草の花のひとつです
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ツタバウンラン

撮影日:2021/11/21

ちょっと変な形の花

ランの仲間かと思ったら、オオバコの仲間だそうです

この雑草はうちの畑ではあまり見ない
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【節約】ネコブセンチュウのセルフ診断【依頼不要】

色々な作物に寄生しては問題を起こすネコブセンチュウ

 

以前、ある地域を調査した時はだいたい調査した畑の半分から検出されました

(そして畑の持ち主はあまり自覚がなかった...)

 

地味に収穫を減らしたり、ある時は激発して全滅に追いやられたり、土壌病害が出やすくなったりと困りごとを運んでくるネコブセンチュウ

 

そんなネコブセンチュウが自分の畑に入ってるかどうかを知るのは、専門機関に依頼しないと分からないと思っていませんか?

 

実は栽培しながら分かるセルフ診断方法があります

 

今回はその方法について書いていきますので、不要な土壌消毒を止めて土とお財布に優しい土壌管理をしましょう

 

 

 

 

 

セルフ診断の基本

基本は自分のところの畑で栽培している作物の根っこを掘り出せば分かります

ただし、掘り出して観察するのは細根が主体です

太い主根にも寄生しますが、どちらかというと細根に寄生していることが多いです

このため、掘り出す時は株の根元からスコップで土の塊ごと起こすイメージでやると細根も切れずに観察できます

 

↓この写真は透明容器でネコブセンチュウに寄生させたものを撮影しています

見ると分かりますが比較的細い根に寄生しているのが分かります

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セルフ診断に適する作物と時期

畑で違う作物を作っていても、畑の隅っこで少しだけ栽培するか、畑の土をプランターに入れて種を蒔いて育て、観察すればネコブセンチュウがいるか/いないか が分かります

 

観察に適する作物としては、

  • ミニトマト(品種:プリッツ):よく寄生する
  • きゅうり(品種:なんでも):大体の品種はよく寄生する
  • ニンジン(品種:長系の品種):短系の品種よりよく寄生する
  • えだまめ(品種:早生品種):晩生だと株が大きいので掘り出すのが大変

 

逆に適さない作物例としては

  • 落花生:多くのネコブセンチュウに抵抗性がある
  • トマト(品種:抵抗性品種):弱~強まで抵抗性が付与されていることがある
  • ミニトマト(品種:抵抗性品種):弱~強まで抵抗性が付与されていることがある
  • ニンジン(品種:短系の品種):ネコブが出来にくい

 

また、栽培時期も大事で春から夏の間に栽培を始めて観察するのが良いです

これはネコブセンチュウの活性が温度の高い時期に同時に高くなるので、

セルフ診断の結果がリスクの高い側で評価できることになります

 

 

ちょっとした工夫で楽に何回も観察

株を掘り起こす方法だと一回しか観察できないので、

苗を植えると同時に、苗のすぐ横にお酒の一升瓶を植えておきます

そうすると一升瓶の周りに根が張りますので、わざわざ掘り起こさなくても細根を何回も観察することが出来ます

↓下のイラストみたいな感じですね(手抜きですいません)

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観察にはライト付きのルーペかマクロ撮影できるカメラがあると便利です

↓私も持ってますが、個人的にはこのメガネ型のがかっこよくて好きです( ´∀` )

 

 

栽培する時期と作物を固定すれば被害が大きくなってるか分かる

毎年同じように栽培と観察をしていけば被害が大きくなりつつあるか分かります

教科書的には下の表のように被害度の階級値が設定されていますので、メモで階級値を、写真で状況記録を取っておくと年々の被害が拡大傾向にあるのかが分かります

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【おまけ】ネコブセンチュウのクネクネ動画

ネコブセンチュウ自体を見たい方はTwitterに動画を投稿してますので、見てみてください クネクネ動画です💃

 

【解説】小さな生き物の撮影機材

農業関係の仕事をする上で生き物観察は欠かせません

特に農業害虫は小さいので、マクロ撮影がメインになるかなと思います

 

ということで、個人的におススメのカメラや機材などを紹介していきます

(完全に趣味の領域ですが...笑)

 

 

屋外でのデジカメ撮影はこれで決まり!

 

防塵・防水・耐衝撃を兼ね備えたカメラ、オリンパスのTGシリーズ

現在はTG-6が最新機種ですが、オリンパスがデジカメ事業を売却したので、この先のシリーズが出るかは分かりません

このシリーズは環境耐性の高さだけでなく、マクロ撮影に特化している部分で小さな生き物を撮影する上ではほぼ最強の特化型機種と言えます

マクロ撮影に加えて、顕微鏡モード、深度合成撮影、水中撮影と色々な場面で活躍します

私が使用しているのはTG-5、これに加えてアクセサリーのディフューザーを付けています フラッシュを使用するときにカメラの左上がフラッシュするのですが、小さいものを撮影するときは光が左上からのみ当たって変な光加減になってしまいます

そのため、光を分散させて均一なフラッシュをあてるための機材がディフューザーになります 小さい害虫(アザミウマやアブラムシ)も余裕で撮影できます

作例 葉の裏についたカメムシの卵

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サイズ比較用に500円玉と撮影

 

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顕微鏡深度合成モードで撮影

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水中の撮影も出来るので田んぼの中も撮れます

 

趣味として撮影するならOM-D E-M1+LAOWAがオススメ

 

個人的には深度合成撮影も出来て画質も良く、ミラーレスで軽いのでオススメです

純正のマクロレンズもそこそこ良いのですが、より小さいものを撮影するのにオプションとして他社のレンズを装着した方がより良いです

私はマウント(他メーカーレンズを装着する接続パーツ)をつけてLAOWAのマクロレンズでより小さい生物を撮影できるようにしてます

 

作例

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土壌中のアヤトビムシ

 

屋外で顕微鏡観察するならコレ!

 

屋外で20-30倍程度で顕微鏡観察するなら、ニコンのファーブルシリーズがおすすめです

ただ、TG-5が優秀なので購入したもののあまり使用していません^^;

お値段も手ごろなので、水中のミジンコなどを網ですくって観察するとかなら、ファーブルシリーズが良いかと思います

デジカメと上手く合わせれば接眼レンズ越しで撮影もできます

 

 

本格的な顕微鏡の購入を考えるならAmscopeがオススメ

 

金額が数万円台からあり、USB接続カメラのオプションもあります

撮影用のPCソフトはAmscope独自のソフトウェアですが深度合成などの機能も標準搭載なのでフォトショップなどの追加購入は必要ありません

生物顕微鏡と実体顕微鏡でカメラは共有できるので2台あっても良いかなと思います(完全に趣味沼ですが...)

 

 

作例

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ネギのさび病-低倍率

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ネギのさび病-高倍率

 

おわりに

小さな生き物の世界を覗くと小さなお庭や畑が無限の広がりを見せます

面白い生き物や発見が沢山ありますので、ぜひご家庭に1台の顕微鏡、マクロ撮影機材を置いて生物観察ライフを充実させてください

ちなみにこちらの本を読むとモチベーションが上がるとともに、撮影方法のイロハも学べます 私もこの本を読んで技術的に磨きがかかりました(ただ使用している機材がマニアックです)