Twitterの質問箱に大根のネグサレセンチュウ防除の話がきたので、個人的に防除体系を組んでみました
↓ どんな被害が出るかは下記のリンク
主に肌荒れの症状で商品価値が下がります
水ぶくれ+中心に褐変が出来て白い大根の肌が汚く見えてしまいます
今回の質問者の方が春大根か秋大根か分からないので、とりあえず秋大根の栽培時期を例に防除体系を組んでみました
↓秋大根の栽培時期
↓ ちなみにネグサレセンチュウ
写真右上が頭部で太い口針が見える
体系に組み込んだ主な資材
緑肥
マリーゴールド:有名な線虫対策用の緑肥 花も付くので景観用にも良いのですが、花がオオタバコガを誘引するので最近は花がつかない品種を用います ネグサレセンチュウ以外にも効果を発揮します
エンバク野生種:こちらも有名ですが、品種によってネコブセンチュウ専用だったり、ネグサレセンチュウ専用だったりするので選定が重要です
農薬
キルパー:季節に関係なく線虫やその卵を死滅させる効果があるとされるくん蒸剤です
粒剤:播種前に土に混ぜて使用します 栽培期間中に渡ってネグサレセンチュウの動きを封じてくれるはず 大根のネグサレセンチュウに登録のあるものをピックアップ
肥料・土壌改良剤
キチン系資材:線虫や卵は体の組成成分にキチンを含んでいますので、キチンを分解する菌のエサを入れて増やせば、線虫を倒してくれる!と期待して入れる資材
昔ながらのカニガラから低分子化されたキチンの液剤まで色々ある(どれが良いのかは正直分からない)
線虫に対してすごい効果があった!というのはあまり聞いたことがないけど、他の土壌病害を抑制することや植物にストレス耐性が付くことが報告されてるので、色々な効果を期待して、とりあえず撒いてみる価値はある
オカラ・コーヒー粕堆肥
神奈川の三浦(ダイコン産地)でネグサレセンチュウの抑制に実績がある資材 市販のものはあまりなさそうなので手に入れば撒いてみる程度で考える資材
慣行防除
薬剤中心にして緑肥も組み込んでみました
1. GWあたりからマリーゴールドの緑肥
品種は絶対にエバーグリーン 花がつかないのでオオタバコガを誘引しないというメリットがあります
2. 播種前には粒剤を中心にして1年ごとに有効成分の違うものをローテーションで使用
3. 栽培後には寒くても効果の出るキルパーで増えた線虫をリセット
↓ 詳しくは過去ブログを参照下さい
1.に戻ると言った体系です
これは効きそう!!
というか、これで被害を抑えきれなかったら現状お手上げな気がします
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減農薬防除
薬剤を使わないハードモードの体系です
正直、防除できるかの半分は土と運に任せてる気がします
1. 秋大根栽培後にキチン系資材を土壌へ投入
2. キスジハムシが気になるときはエンバク(品種:ネグサレタイジ)
ネグサレセンチュウだけで良いときはマリーゴールド(品種:エバーグリーン)
栽培前の土壌改良でキチン系資材を投入
入手できればおから・コーヒー粕堆肥を投入
3. 栽培中に低分子キチン液剤の散布もしくは潅注
キチンが線虫に効くとは聞きますが、劇的な効果があったとの報告は見たことがないので、使用する土壌によって効果は左右されると思います
おから・コーヒー粕堆肥は神奈川三浦で実績があるようですが、これも使用する土壌によって効果が左右されることが予想されます
なので、キチンや堆肥は土壌改良効果を主目的とした気長な土づくりと思ってください
体系を組んでみましたが、ほぼ緑肥頼みになってしまいます
[rakuten:auc-nouenn:10001809:detail]
う~んカニガラ資材(キチン系資材)はどれが良いのか分からないですね...
大根に聞いて対策を変えるフレキシブル防除体系
少し複雑になりますが、これが一番現実的というか無駄がないかなと考えています
そもそも上の2つは春作でお金になる作物を何も栽培しないという問題があります
1. 秋大根を一作します
2. その大根の収穫で
被害が大きい→キルパーで消毒→(春作は捨ててマリーゴールドで防除)
被害が小さい→カニガラ入れて春作の作物を植える
3. 前作の大根被害の大小に関わらず、畑の一画で少しだけ春大根を栽培する
春に少しだけ栽培した大根の被害度が...
大きい→農薬で防除
小さい→カニガラだけ使用しておく(もしくは対策なしでいく)
という大根に直接被害状況を聞いてみて人が意思決定するという体系です
()内は生産者の方の匙加減ですが、実施した方がリスクは下がるかなと思います
緑肥を使わないと少し不安なんですが、緑肥を使うと春作が出来ないというジレンマ うーん質問をいただくあって難しい
今回の記事を見て、何か妙案があれば教えていただきたく、よろしくお願いいたします