農業LABブログ

なんとなく勉強した感じになるブログ

【利用場面】農薬、特定農薬、バイオスティミュラント、肥料【整理】

最近、色々なカテゴリーの農業資材が出てきて頭が追い付かないなぁ(;・∀・)

ということで、自分の頭の中を含めて少し整理してみます

 

個人的には以下の写真のようなイメージです

 

 

f:id:PPN_LAB:20211107112608j:plain

 

では、ひとつずつ見ていきましょう

 

農薬

知らない人はいないでしょう

農薬取締法により安全性検査・環境中での動態検査・効果試験等、多数の試験が義務付けられています

1剤開発するのに10年以上、200-300億円程度かかるので、新しい農薬開発の会社を興そうと思っても参入障壁が非常に高いものとなっています

また、農薬と一言で言っても様々な病気に対する農薬があります

病気や害虫によって効く農薬、効かない農薬があるので症状に合わせて使い分けることや、残留性の観点から作物ごとに濃度や使用回数が決められています

まさに人間が使用する薬と一緒で必要な薬を必要な用法用量で使用します

有名どころとしては、

・ダコニール

・アミスター

などがあります

このあたりの農薬は病気に対するスペクトルが広いので、良く分からない病気が発生して作物に適用があれば、とりあえず撒いてみるかと思える薬です

 

特定農薬

農薬という文字は入っていますが、感覚としては農薬の使用には当たりません

しかし、農水省の告示の中では「農薬」として定められています

非常に分かりづらいカテゴリーです

雑に言うと「昔から使われてきた民間療法的な薬」です

お酢重曹など食品グレードのものでも、薄めて植物に撒くと病気を抑制する作用があります

また、最近ですと次亜塩素水が作物の病害に対する予防効果が認められて特定農薬の位置づけに入りました

原料として明確に安全かつある程度の効果が認められるものを特定農薬(特定防除資材)として正式に認定、利用するために作られたカテゴリーです

農水省が公表している効果以外にも後述のバイオスティミュラントのような効果もあるようです

そして食酢を使う人は何故かミツカンを50~60倍希釈して使う人が多い印象です

酸度がちょうどいいのか効果が安定するのか、その理由は定かではありません

 

バイオスティミュラント

ここ数年で出てきた新進気鋭のカテゴリーです

公的にはまだ規格が決まっておらず、玉石混交の資材が入り乱れている状況です

実は昔から知っている人は使っている、農家さんのノウハウ的な資材が多いのが特徴です

一例をあげますと

・食酢:乾燥耐性付与

・5-アミノレブリン酸(5-ALA):光合成促進

・ケイ酸資材:水稲の日照不足時における光合成促進

などがあります

中には有効成分以外に肥料分(NPK)を混合して肥料登録しているものもあり、肥料と分けるのが難しいもの、本当に効果があるのか疑わしいものまであります

植物にとって必須なものではないけれども、気候変動や環境ストレスへの対抗策として利用される場面が多いです

こういった意味でも機能性表示食品やサプリメント的な位置付けになります

国内に協議会も出来ており、食品、化学、農薬、製鉄など色々なメーカーや業界が入会しています

参加企業をみると大手から中小企業までバイオスティミュラントを取り扱う企業も様々でこれから発展していく分野といえます

このあたりはまた別の記事で詳しく紹介したいと思います

www.japanbsa.com

 

肥料

肥料は皆さんご存知の通り、植物の生育に必須な栄養を供給する目的で使われます

つまり、植物にとってのご飯を供給するということです

植物が必要とする栄養は主にN(窒素)、P(りん酸)、K(カリウム)ですが、この次にCa(石灰)、Mg(苦土)、微量要素としてFe(鉄)、Mn(マンガン)、B(ホウ素)なども入ってきます

 

これに加えて、土壌の酸性度を矯正する目的のものや土壌中の腐植(物理・化学的な緩衝能力)を増やす目的の有機質肥料など多種多様なものが含まれます

 

主に「元肥」といって栽培する前に肥料を使用する場面が多いです

ただ、栽培期間が長いものや生育の初期にまとめて栄養をあげてはいけない作物もあるので、途中で肥料を追加する「追肥」もよくあります

 

こうやって見ていくと、作物を選び、品種を選び、資材を選び、出荷先を選び、無数の選択肢があり、農家さんの数だけ農業の形があるのが分かりますね