農業LABブログ

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【解説】土壌改良材ってなんだ

以前に農業資材の記事を書きましたが、こちらには土壌改良材は入れてませんでした

ppn-lab.hatenablog.com

 

土壌改良材は上記ブログで取り扱った資材の中では立ち位置が曖昧であえていれてませんでした

 

今回は土壌改良材について業界の裏話も含めて書きたいと思います

 

 

土壌改良材とは何か?

オフィシャルには農林水産省が定義づけた以下の表の品目が該当します

f:id:PPN_LAB:20211127084835j:plain

これらは法律があって「地力増進基本法」という法律で定められています

しかしながら、上記カテゴリに含まれない土壌改良材も多く販売されており、農林水産省は「土壌改良材の協議会HPを参考にしてね!」ということも資料中に記載しています

japan-soil.info

 

肥料・農薬と土壌改良材の違いは?

肥料は「肥料の品質の確保等に関する法律(旧 肥料取締法)」

農薬は「農薬取締法

によって規制されています

・肥料:主に植物の栄養素を含む物質に対しての規制/保証

・農薬:病害虫や特定用途のホルモン剤の安全・効果を規制/保証

する法律になります

ここで、土壌改良材は「地力増進法」によって取り締まりがされているのですが、上記のふたつほどキチンとした規制ではないなぁと個人的には思います

 

土壌改良材は安全なのか?

品質規格には原材料を明記することが義務付けられていますが、安全性に関する検査や分析などはありません

問題が起こるとその都度、検査して問題がないか対応しているのが現状かと思います

以下にその事例を挙げます

 

バーミキュライトアスベスト問題

10年位前だったと思いますが、土壌改良材・園芸用のバーミキュライトアスベストが混ざってるかも!として問題になりました

www.maff.go.jp

 

国内の製造メーカーに対してはアスベストの分析をして安全性を確保したとのことです

ただ、企業で輸入している場合や個人で輸入している場合もあり、こういった場合に粗悪なバーミキュライトが入ってきているのでは?と疑問に感じたのを覚えています

検査済みの企業も公表されていますので、その企業が製造しているバーミキュライトを購入するのが良いでしょう

ただ、製造元と販売会社が別の場合があるので確認が難しいかも知れません

 

プロトリーフという会社は自社で取り扱うバーミキュライトアスベスト問題に触れているので、産地にこだわりが見えます

tsuchi.blog.protoleaf.com

 

「ころしやくん」問題

特殊肥料に農薬成分を混ぜ込んだ新製品「ころしやくん」を販売したとして問題になりました

https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_sizai/attach/pdf/index-1.pdf

こういった形で農薬疑義資材として土壌改良材が摘発されることもあります

ただ、これは農薬の安全性の観点と農薬メーカーの権利確保が目的なので、土壌改良材自体の安全性を追求するものではないと考えています

(資材のネーミングセンス...笑)

 

土壌改良材の効果は保証されてるのか?

効果は保証されていません

農林水産省が指定した資材については一般的に言われている効果を記述していますので、参考情報にはなるかと思います

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_20.pdf

 

ここで思うのは、「なんで農林水産省は土壌改良材に触れてるのに効果の保証をしないんだ!」ということですが理由があります

 

肥料であれば10aあたりの施肥基準が作物ごとに設定されています

農薬であれば希釈倍率や使用量・回数、対象となる病害虫が設定されてます

 

土壌改良材は大まかに「土壌を良くする」という目標しかないので、対象が曖昧で何をどれくらい、どのタイプの土に使えば効果が出るかを定義づけられないのです

 

ただし、各資材の規格があり、2021年の12月に一部改正があります

これも効果の保証ではないものの、粗悪品をある程度排除することが出来るので、品質の確保には役立っていると言えます

 

裏話~土壌改良材から肥料にクラスチェンジ!~

これまで書いてきたように、知ってる人は「土壌改良材ってなんか怪しいなぁ...」と思う人もいるでしょう

しかし、土壌改良材を肥料として登録すれば肥料品質確保法を通過したことになります

肥料として登録できると製品としてワンランク上がります(か分かりませんが私からはそう見えます)

では、何をしているかと言うと、土壌改良材に肥料成分を入れて保証しているだけです

ここで錯覚するのは、なんとなく土壌改良材の効果も保証してくれてる気になることです

肥料はあくまで肥料成分(N, P, K, Ca, Mgなど)を保証するものですから土壌改良材の効果については問題になりません

ただ、資材によっては肥料登録する際に植害試験というコマツナのポット栽培試験を通過しているものもあるため、検査なしの土壌改良材よりかは作物への安全性について検査されることになります

 

同じような腐植酸資材であっても

↓こちらは土壌改良材

 

↓こちらは肥料

 

のように製品表示が違います

 

まとめ

最近だと土壌改良材として定義されていたものが、バイオスティミュラントと謳われたり、肥料成分を混ぜて肥料として販売されるなどカテゴリーがごちゃごちゃと混ざり合っていてカオスです

土壌改良材自体は効果を保証しないものの、土壌物理・化学性改善や作物の生育を補助してくれるものもあるので、生産者の方が独自に使用方法を試して農法に組み込んでいるケースを見ます

資材の特性や理解、利用方法を生産者に委ねているという意味で面白いカテゴリーであるとともに使用に悩むものでもあります

研究としては色々な資材が出てきて面白いのですが、アドバイスを求められると困りがちなので、皆さんでも色々と試してみてください

個人的には農薬メーカーや大手が出してる資材は評価のノウハウや安全性へのこだわり、潤沢な開発環境のもとで開発されてるので良いのかなと思います

 

↓農薬メーカーのアリスタライフサイエンスが開発した「トリコデソイル」

 

↓出光興産がだしている菌根菌資材「ドクターキンコンシリーズ」

作物ごとに定着しやすい菌を使用している(と思う)