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【解説】農業でJ-クレジット! 野菜よりも温室効果ガスを売る時代!?

J-クレジットという単語を世の中で聞くようになってきました

J-クレジットとはなに?、農業にどういう関係があるの?

などまとめていきたいと思います

 

 

 

 

J-クレジット制度ってなに?

温室効果ガスの削減量を一定の通貨のようにして取引をする市場があります

その日本版がJ-クレジットになります

農業だけではなく、

省エネルギー

再生可能エネルギー

・工業プロセス

・廃棄物

・森林

と色々な分野に分かれています

一定の条件を満たして設備導入したり、工程上の処理をすることで削減できる分の温室効果ガスに対してお金を払ってくれるという仕組みです

以下のリンクに各分野での対象が詳細に載っています

https://japancredit.go.jp/about/methodology/

 

農業に関係するJ-クレジットは?

農業に関するものとしては6種類程度あり、

畜産:3種類

 茶:1種類

水稲:1種類

農地:1種類

です

利用する方が多いであろう水稲と農地の部分について解説したいと思います

 

水稲ー水田のメタン発生抑制

農水省の資料によると、直近2年の中干し期間よりも7日以上延長することでメタン発生量を抑制したとみなして削減量分のクレジットが発生するという方法です

J-クレジットの方法論のページに詳細な計算式や条件設定の仮定が記載されていますが、正直なところ読んでもピンときません

おおまかにどのくらいの金額がもらえるかというと、1000~3600円/10aあたりだそうです(以下の記事を参考)

水田の中干しの延長については収穫量を取ろうと思うとなかなか判断が難しい部分であろうかと思います

その年の天候や生育の進み具合などにも左右されますし、計画的に出来るものなのか実装されてみないと削減効率は分からないところが大きそうです

www.nhk.or.jp

また、中干し期間を延長すると土壌が酸化されて水稲が土壌中のカドミウムを吸収しやすくなるという問題があります

J-クレジット制度によって事故米が新しく生成される可能性もあるため、カドミウム濃度が超過しやすい水田地域では注意が必要になります

食品のカドミウム問題については以下の記事にまとめてあります

ppn-lab.hatenablog.com

 

農地ーバイオ炭施用による炭素貯留

品質が適合するバイオ炭を農地に施用することで、その量に応じて炭素貯留をしたという評価になりクレジットが発生する方法です

バイオ炭については以下の記事にまとめてあります

ppn-lab.hatenablog.com

農水省の公表資料ですと木炭を300kg/10aの施用量で3.4万円(5万円/t-CO2×6.8t-CO2換算)になります

こちらもクレジットの性質上、1t-CO2あたりの価格は需給バランスで変動しますので、確実に単価5万円ではないです

また、バイオ炭のように土壌のpHを上げる性質を持つ資材では施用量に限界があるので、毎年大量に投入することは難しいです

しかし、農地土壌は通常、酸性物質が溜まっていき酸性側に傾いていくものなのでバイオ炭でアルカリ側に矯正しつつお金がもらえるというのはありがたい話でもあります

www.maff.go.jp

 

これから制度はどうなるの?

私見ですが、各分野で使用できる方法が増えていくと思われます(例えば、緑肥を一定の大きさまで育ててすき込んだら~円など)

また、認定事業者制度やどのくらい温室効果ガスを削減して生産された農作物かで差別化が図られたり、大手スーパーは優先的に取り扱うなど制度に沿って取り組むことでのメリットは出てくるのではないかと思います

ただし、取り組む際に届出をする事業者(コンサルタントのような企業)が乱立して詐欺的な行為も出るでしょうし、その点については今後の整備が必要かと考えます