タイトルの通り、最近の研究で季節によって使用する薬剤を変えた方が効率的にネコブセンチュウを防除できることが報告されました
引用論文
土壌くん蒸剤 3 種のサツマイモネコブセンチュウ(ティレンクス目:メロイドギネ科)二期幼虫および卵に対する温度別殺虫効果
論文の目的はなんなのか?
線虫に対する農薬として以下のものが一般的に使用されます
・くん蒸剤(クロルピクリン、D-Dなど)
・粒剤(バイデート、バスアミドなど)
くん蒸剤は潅注して土壌中で急激にガス化・拡散させて線虫を殺す薬剤です
この論文では主にくん蒸剤を使用する季節によって効き目が違ってくるのではないか?
ということに注目しています
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どんなことが分かったのか?
この論文では、くん蒸剤として
- クロルピクリン
- DD
- キルパー
を使用してネコブセンチュウへの効果を比較しています
結果を要約しますと、
- クロルピクリン・DDは冬に殺線虫効果が出にくいこと
- 特に冬ではクロルピクリンとDDにおいて卵が死ににくいこと
- キルパーは夏・冬どちらでも殺線虫効果が得られること
が分かりました
1と3の部分は以下のグラフで説明されます
左からクロルピクリン、DD、キルパーの順で並んでます
クロピクとDDでは土壌中の濃度が上がっても冬の方がその後の栽培で根がボコボコにされてたよということが書いてあります
これを見ると、くん蒸剤でも季節によって効果が違うのと、クロルピクリンって他の2つよりもネコブセンチュウに対しては効果が出にくいように見えますね
なんで、冬にクロピクとDDで効果が出にくいのか?
結論的には明言されてませんが、低温で薬剤が拡散しにくいことや、冬はネコブセンチュウが主に卵の状態でいることから薬剤が効きにくいと考えられます
キルパーは液として土壌に浸透⇒ある程度拡散した状態から分解されてガス化が始まるため、他の2剤よりも土壌中での拡散力が高く、卵に対する毒性も他の2剤よりも高いため、季節によって効果が左右されにくいのだと思われます
この論文から分かる効果的な農薬の処方は?
私がこの論文を読んで線虫対策としてくん蒸剤を選ぶなら、
夏:DD
冬:キルパー
栽培前は粒剤(ラグビーやバイデート、ビーラム)
で体系を組むでしょうね
夏冬キルパーでも良いのですが、連用して分解菌が溜まって効果が薄くなったら嫌だなと思うので、一応ローテーションして防除しますかね
粒剤についてはこちらを参考にしてください