2021年10月に肥料取締法の改正が公布され、名称が肥料の品質の確保等に関する法律(肥料品質確保法)へと名称が変わりました
まだまだ具体的に知らされていないこともありますが、変わっていく(いきそう)なところも含めて解説します
- 名称の変更と背景の推測
- 原料規格の設定(≒ゴミは畑に入れさせない!)
- 原料等の虚偽宣伝の禁止(≒誇大広告はダメ!)
- 肥料の配合に関する規制の見直し (≒もっと便利な肥料を作ろう)
- 表示基準の設定(≒課題のある効果や成分について表示する!)
- おわりに
名称の変更と背景の推測
肥料取締法から肥料の品質確保法へと変わりました
これは肥料の有害物質や肥料成分の取り締まりだけでなく、
『さらに1歩踏み込んだ部分まで見ていくよ』
という意味を込めての改正だと思われます
また、みどりの食料戦略システムの普及に伴う改正もあると推測しています
みどりの食料戦略の記事はコチラ↓
原料規格の設定(≒ゴミは畑に入れさせない!)
これまで肥料は有害成分の基準値をクリアして肥料成分を一定以上含んでいれば、何らかの形で肥料として認められてきました
極端な話、適当な産業廃棄物に肥料分を加えても『肥料』として販売できたわけです
さすがに審査機関であるFAMIC 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
が許可を出さないでしょうが、色々な種類の肥料が出てきて、どこからNGでどこからOKなのか担当者ベースで判断しにくい事例が増えてきたものと思われます
このため、使用できる原料の範囲が明確化する必要が出てきました
原料等の虚偽宣伝の禁止(≒誇大広告はダメ!)
今まではパッケージの裏の肥料の表示部分だけを取り締まりしていました
↓この部分ですね 生産農家さんなら肥料分の総量みるのに使うかも知れませんね
引用:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cf7/cnt/f450002/p580411.html
ただ、消費者が主に目にするのはおもて面のパッケージです
このパッケージに原料として使ってもいないのに「カナダ産○○使用!」や「高品質○○酸使用!」など書いていても取り締まり対象外でした
そのため、過剰な宣伝効果を狙った悪質な虚偽記載を取り締まることになります
肥料の配合に関する規制の見直し (≒もっと便利な肥料を作ろう)
今までは化成肥料と堆肥などを混ぜて製品とすることは禁止されていました
今回の改正で混ぜてもOKになりそうなので、堆肥と化成肥料を同時に施用できる新型のハイブリッド肥料が出てくると思われます
また、政令指定の土壌改良材との混合もOKなので「バーク堆肥8-8-8」とか「ドクターキンコン4-4-4」とかが製品として出てくるかも知れません
登録済みの肥料同士を混ぜたり、造粒もOKなのでペレット状でまきやすくなって新登場する肥料もあるかもですね
- 価格: 977 円
- 楽天で詳細を見る
土壌改良材の記事はコチラ↓
表示基準の設定(≒課題のある効果や成分について表示する!)
緩効性被覆肥料
『一発○○』系の追肥がいらない肥料ですね
初期の元肥に加えて、プラスチックなどで被覆した肥料で追肥時期に成分が溶け出るように調整したもの
これからは肥料効果が出る時期を明記する必要があります
つまり、全然効果が出ない肥料も中にはあるというわけで、ちゃんと効果がでると検証したうえで肥料登録する必要性があります
- 価格: 2750 円
- 楽天で詳細を見る
クロピラリドの含有量
クロピラリドは海外で使用される除草剤の成分です
牧草やイネ科作物など飼料用の栽培で使用されますが、家畜が飼料を食べて排泄物から堆肥に変わってもクロピラリドだけ分解されずに残ります
原料によっては堆肥中に残留している可能性があるため、クロピラリドを含む堆肥を農業生産で使用すると発芽障害や生育不良の原因になります
そのため、クロピラリドの含有量について分析を義務付けがなされます
おわりに
以上のように農業生産者に直接関わるものではないですが、今後、市場に出てくる肥料の品質や種類に変化があるのは確かなようです
新しい肥料の登場によって、これまでの施肥設計から新しい形態の施肥設計が可能になるかもしれませんので、アンテナを張ってより効率的な営農にいち早く対応しましょう