昨今、SNS上でも議論が白熱しているのを見かけるようになってきました
『ネオニコチノイドや有機リン系が使えなくなる』といった話ですね
今回はそもそも、
なんでそんな話になってるのか?
ということについて書いていこうと思います
農薬の再評価制度について
コトの発端は2018年に決定された農薬の再評価制度です
15年ごとに農薬の再評価を行い、安全性を担保するという内容です
ただし、昨今の環境意識の高まりとともに農薬の安全性試験に新しく追加された項目があり、コレを通過できない農薬があるのではないかとしてタイトルのような話が飛び交うようになったのです
なお、再評価制度は諸外国との評価制度の調和(ハーモナイズ)のもとに実施されていますので日本に限った規制強化ではありません
再評価ではミツバチ関係の試験が追加
再評価制度の動き出しと同時に以下の試験項目が追加されました
・農薬使用者への曝露量評価
・ミツバチへの曝露量評価
・動植物影響評価への追加
このうち、最も懸念されているのがミツバチへの評価でしょう
既存の農薬がミツバチ集団に及ぼす影響評価が追加されました
特にミツバチが集めた花粉の残留農薬がミツバチ集団全体に影響・崩壊するという話があるため、この点に注目が集まっています
引用:農薬のミツバチへの影響評価ガイダンス(農林水産省)
また、3つめの部分でセイヨウミツバチだけでなくハナバチへの影響評価が追加されたことで全体的にハチ類への影響評価が強化された印象です
引用:食のリスクコミュニケーション・フォーラム2021
再評価は始まったばかりだが...
2021年から再評価制度が始まっているので、国内での再評価結果はまだ公表されていません
ただ、評価の優先度は先に公表されていたので、最優先評価対象であるネオニコチノイド系・有機リン系農薬の評価結果に憶測が飛びかっている状況です
↓ 再評価の優先度一覧
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/saihyoka/attach/pdf/index-1.pdf
また、先行してヨーロッパでの評価結果でネオニコチノイド系農薬の使用が禁止になっている事実が国内評価の結果にもある程度反映されると考え、使えなくなるという推測のもとになっています
生産者は正しい情報収集が必須
再評価結果の公表には細心の注意が払われるものの、使用禁止・登録抹消などが公になれば報道は加熱すると思われます
また、他の農薬でも(ミツバチ以外の項目でも)基準を満たさなければ使用制限がかかるので、報道されずともひっそりと使えなくなる農薬が出てくることも想定されます
このため、『いつから・何の農薬を対象に使用制限がかかるのか』は慣行農業では死活問題ですので、情報を逐一集めて、防除体系を見直したり、代替の防除技術導入の必要が出てきそうです