農業LABブログ

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【推考】大麻栽培って儲かるのかな?

最近、ニュースで大学生が大麻を営利目的で所持していて逮捕されたり、健康食品やリラックス目的でCBD(カンナビジオール)などの製品が出てたりと善悪混然で色々な情報が出てきて、ちょっと興味がわいたので推考してみることにしました

 

 

1. 大麻の市場性

ある市場調査では2031年には約1500億ドル規模になるとの予測があり、日本円に換算して20兆円以上の規模になるようです

大麻の市場規模は2031年に1495億米ドルに達する見込み~最新予測 | NEWSCAST

 

娯楽目的で大麻を解禁している国もありますが、市場をけん引するのは医療用大麻の特許や製薬に関するセグメントの影響が大きいようです

 

日本でもその流れに遅れないように法改正が進んでいます

医療用大麻の製薬は大きなマーケットなんです

news.yahoo.co.jp

 

2. 身近な大麻関連製品

身近にも大麻由来の成分を入れ込んだ商品が増えたな~と実感します

コンビニで売ってるエナドリで「チルアウト」というリラックス目的の製品があります

これは麻の実(ヘンプシード)から抽出した成分が入っているだけで一般にイメージするドラッグとしての大麻とは別物です

 

あとはドン・キホーテなどに売ってるのを見かけるものでは、CBD製品が多くなりました

CBDはカンナビジオールの略でリラックス作用をもたらすもの、ドラッグとしての大麻は主にTHC:テトラヒドロカンナビノールによってハイになるものという違いがあるようです

CBDグミやべイプで使用するCBDリキッド、加熱式タバコ用のスティックなど意外と身近にあふれています

 

3. 大麻栽培は儲かるのか?

さて、本題で大麻の栽培は儲かるのか少し考えます

まず、収穫量がどんなものなのか下記のサイトでは0.1m2で乾燥大麻30g程度という情報があったので、これを参考にします

価格は末端価格で乾燥大麻1gあたり6,000円だとすると、

反収:300,000g/10a×6,000円=18億円

めちゃくちゃ儲かりますね 笑

仮に1/100程度しか収量取れなくても1800万円/10aか...

米だと玄米で大体、235円/kg×600kg/10a=約14万円/10なので正に桁違いですね

 

ドラッグとしての用途でなければどのくらいの価格になるか分かりませんが、国産原料の大麻を漢方や原料としての位置づけで栽培できれば物凄い収益性の高い農業が実現可能なのでは…?

 

なんて妄想しながら推考してみました

 

thehighclass.jp

www.asahi.com

 

【解説】テンサイシストセンチュウってどうなったの?【23.08.29】

2017年に長野県諏訪郡原村に侵入したテンサイシストセンチュウ(Heterodera schachtii、ヘテロデラ シャハティ)という新しい植物寄生性線虫の動向について書いていこうと思います

 

2017年から2-3年で防除が完了したと思って取り上げなかったのですが、改めて動向を調べたら色々なことが分かってきました

 

目次

 

1. テンサイシストセンチュウってなに?

テンサイシストセンチュウは日本で問題になる場合、アブラナ科作物(カリフラワー、ブロッコリー等)やホウレンソウへの被害が問題になります

形態は日本で発生しているシストセンチュウ(ダイズシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウなど)に類似しており、シスト(耐久体)を形成して乾燥や低温等の不適な環境にも耐えます

シストや幼虫の見た目は他のシストセンチュウとは大きく変わりません

画像:植物防疫, 2019 ~日本におけるテンサイシストセンチュウの発生と緊急防除~

2. テンサイシストセンチュウの何が問題なの?

今まで国内で未発生であったため、使用可能な農薬の登録がありません

また、対抗植物や品種間での抵抗性が分かっていないため輪作での対応が難しくなります

現在のところ、DD剤で農薬登録があり緑肥用ダイコン(コブ減り大根)は非寄主(増殖のできない植物)であることが分かっています

 

また、侵入した本線虫はトマトにも寄生することが分かりました(実際に被害があるかは分かりません)

特に今回侵入が判明した長野県はキャベツやブロッコリーなどの産地であるため、拡大してしまうと大きな損害が出ることが予想されます

 

3. 発生からこれまでの経過は?

2017年に発生して以降、農研機構による懸命な調査と防除対策がされてきましたがジリジリと発生範囲が広がっている状態です

とはいえ、まだ発生範囲は長野県内の近隣市町村だけなので他県の生産者が心配する必要はなさそうです

実際に県外でアブラナ科野菜の生育不良が出た際に当該線虫の検査をしているようですが他県では検出がないとの報告があります

具体的な発生地域としては長野県原村から始まり、2020年に南北の茅野市、富士見町、2023年に東側の南牧村、川上村にて検出されてやや広がりを見せています

 

 

また、シストセンチュウ全般に言えることですが、根絶がとにかく難しい

徹底的に防除をしたをして、分析の検出限界以下になったとしても圃場の少しの土に残っている所から再び広がってしまうのです



今後も動向が気がかりなテンサイシストセンチュウです

 

 

【解説】何にでも効く!ベタイン系バイオスティミュラント(ボンバルディア、リダバイタル、サカタ液肥GB)

ベタイン系のBSが多く市場に出回り始めたので、どんな資材なのか?、コスパいいものは?を書いていこうと思います

 

 

ベタインとは?

ベタインとはテンサイ(砂糖大根)、海藻などに含まれる化合物です

哺乳類や微生物も含むことで知られており、自然界に幅広く存在する代謝化合物になります

photosyn.jp

 

ベタインの効果は?

高温、低温、乾燥、塩類障害など幅広いストレスに対して効果が認めらています

いずれも細胞内の浸透圧調節にベタインが関与しており、植物内の調整をしてくれると考えられています

また、浸透圧調節が潤滑に行えることで活性酸素(ストレスにより生じる傷害物質)が少なくなることも報告されているため効果に一定の信頼性はありそうです

 

どんなBS資材があるの?

色々なメーカーからベタイン系のBS資材が出ています

今回は3種類を解説して、コスパを比較します

 

ボンバルディア-ハイポネックス

こちらはベタインだけでなくフルボ酸やアミノ酸、微量要素も含む、「なんか良いとこどりしてみた!」みたいな資材になってます

元はスペインのキミテック社が開発した有機液肥をベースに作られています

 

リダバイタル-OATアグリオ

こちらはテンサイ由来のベタイン+アミノ酸がメインのBS資材

販売代理店はイノチオプラントがやっていてネット販売はしていないのかな?

www.oat-agrio.co.jp

 

サカタ液肥GB-サカタのタネ

こちらもテンサイ由来のベタイン+ラフィノースというストレスに強くなるオリゴ糖を含んでいます

おしりについてるGBはグリシノベタインかな

 

コスパを比較してみる

10aあたりの散布量目安がいずれの資材もないので、農薬ベースで考えるとボンバルディアが最安です

ただどれも似たり寄ったりな価格帯であったりネットで販売されてるものはこれよりも安くなっています

個人的にはボンバルディアコスパ良さそうです

理由として腐植酸や微量要素など色々な成分がごちゃ混ぜで入っているので効果の出るスペクトルが広そうだなという点、ハイポネックス社が作っているので効果が出やすくなる仕組み(展着剤など効率的に吸収させる仕組み)を熟知していそうだなと感じました

 

ベタイン系BSを使用するときの留意点

いずれの資材も肥料成分やアミノ酸など肥料効果を持つものを含んでいます

これはそもそも養分不足だとベタイン系資材の効果が実感しにくいためだと推測します

そのため、葉色が薄い、草勢が弱い状態で使うときは追肥も同時にしてあげることで効果が出やすくなるのではないかと思います

各ベタイン系BS資材にも肥料分が含まれますが、1000倍希釈で散布するとかなり薄まってるので十分な肥料成分を施用した上で使うのが無難です

【解説】下水汚泥肥料の特徴と安全性

最近になって国のプロジェクトで下水汚泥の肥料化やリン回収が活発になってきました

肥料の種類としてはかなり昔からある部類ですが、ほとんど一般の消費者の目には触れてこなかった部分もあります

今回はそんな下水汚泥肥料について書いていきます

 

 

 

1. 何で出来てるの?

下水汚泥肥料は微生物の死骸で出来ています

というのも、下水処理場(終末処理場)に流入してきたもの(生活排水やし尿、雨水など)を曝気処理して微生物に分解させたあとの死骸が主なものだからです

www.city.ikeda.osaka.jp

下水処理場では処理の際、空気を送り込むことで強制的に好気分解を促して微生物に有機物(水の中の汚れ)を食べさせる環境を作ります

そのため、微生物が増殖してその死骸が最終的に汚泥という泥のような形で排出されます

その泥を他の物と混ぜて発酵(堆肥化)させたものが下水汚泥肥料になります

 

2. 肥料としての特性は?

下水汚泥肥料についてはいくつかの種類があり、以下に編集した表を示します

肥料としては窒素を約3%、リン酸を約5%程度含んでいます

カリウムについてはいずれの種類でもほぼ含んでいません(...残念)

通常の堆肥のように1t/10aの施用をすればN:30kg、P:50kgほどが農地に入ることになるので多くの作物の窒素やリン酸の施肥量としては十分な量になります(通常の堆肥のように使用することは少ないと思いますが)

また、C/N比(土壌中での分解のしやすさ)が低いので土壌中での分解が速やかに行われて肥料成分の効果が出やすい肥料になります

 

(出典:汚泥肥料の種類と成分含有量の実態、水野・吉羽、2013)

 

 

3. 安全なの?

肥料の品質確保法(旧肥料取締法)で肥料の重金属について規制が掛かっています

また、原料となる汚泥については環境省の産業廃棄物の基準が適用されており、二重で有害物質の検査がされているので流通しているものは安全と言えます

仮に原料の段階で基準値を超過したものはリンのみを抽出して肥料化する方法もあり、下水汚泥の利用促進がなされています(B-DASH PJ)

www.nilim.go.jp

 

ただし、連用による重金属の農地への蓄積や規制物質以外の農地への流入は今後の研究課題になると考えられます

また、一部の下水処理場では有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)の混入が問題になっており、利用促進に向けての課題が浮き彫りになっています

各地の下水処理場上水道での検出結果は自治体ごとに調査結果が公表されていますので利用に際しては参考にすると良いでしょう

 

ryukyushimpo.jp

4. どこで買えるの?

一般にはあまり販売されていません

かんとりースーパーという堆肥が汚泥を原料として使用している程度で一般的な市場流通には乗らないようです

おそらく終末処理場や下水処理場という公共の設備から出てくるものを原料としているため、リサイクルが第一目的、地域での配布や販売が主であり市場流通はしないものと推測されます

 

回収リン酸と鶏糞焼却灰を混ぜた化成肥料が販売されてます(肥料分を調整してるようであくまで化成肥料扱いのようですが)

肥料名はエコレクトG066もしくは岐阜の大地という名前で岐阜県内でのみの試験販売のようですが肥料の高騰対策にこういった肥料は増えてきそうですね

www.zennoh.or.jp

www.yomiuri.co.jp

 

5. なんで今さら下水汚泥肥料なの?

国内の食料自給率は話題になることが多いですが、肥料自給率についてはあまり話題になりません

実は国内の化学肥料自給率はほぼ0パーセントで輸入に依存しています

(出典:食料生産を支える肥料原料の状況(農林水産省資料))

窒素、リン酸、カリウムが主要な成分ですがいずれも外的な要因(原油高、輸出入規制、外交問題)に価格や使用可能量が左右されます

weekly-economist.mainichi.jp

www.nikkei.com

そこで農林水産省は「みどりの食料戦略」の一環として国内の未利用バイオマスを用いて肥料自給率の向上を目指しているのです

実際は化成肥料の原料(リン鉱石カリウム)の産出は国内では難しく、有機物から取り出す、もしくは有機物を肥料化して農地に還元するのが主になります

ppn-lab.hatenablog.com

 

6. 下水汚泥肥料に望む今後

継続的な利用に伴う安全性の検証や高機能な下水汚泥肥料(例えば有用微生物を含む、植物の生理活性を底上げするような物質を含むなど)が出てくると利用促進や利用場面の幅が広がって面白いなと思います

皆さんのおうちの近くにも汚泥肥料を頒布している所があると思うので、試しに使ってみてはいかがでしょうか

 

【解説】暑さを乗り越えろ!! ~バイオスティミュラント 耐暑性資材の種類・使い方~

今年の春は気温が乱高下して皆さん育苗や栽培で苦戦しているのではないでしょうか?

 

そんなときに使える資材としてバイオスティミュラントのうち植物に耐暑性(熱耐性)を付与する資材があります

耐暑性資材は、高温環境下で作物を栽培する際に、作物が熱中症のようなストレスによるダメージを受けないようにするための製品です

これらの製品は、主に植物の葉や茎に散布することで効果を発揮します

今回は高温ストレスに効果のある資材を紹介・解説していきます

 

 

 

↓バイオスティミュラント全般の解説記事はコチラ↓

ppn-lab.hatenablog.com

 

キーポン

最近は農業資材の販売店でよく目にするようになった製品のひとつです

主成分は酢酸ですが、独自処方とのことなので副成分で植物が吸収しやすくなるような成分で効果が出やすくなっているものと考えられます

↓酢酸による植物の生理活性については以下の記事にまとめています↓

ppn-lab.hatenablog.com

 

すずみどり

2-ヘキセナールという成分が高温耐性を付与するという資材です

元々は病害虫によって傷害を受けた際に植物自身が合成する物質ですが、人為的に植物へ投与することで高温に対する耐性を獲得できることが分かり、資材化されています

使い方は葉面散布ではなくハウスや露地内に吊るすだけで効果が出るということで非常にお手軽に使えますね

圃場だと密閉されていない空間なので少し多めに使う必要があるとのことです

 

エタノール

コロナ対策でお世話になったエタノールにこんな効果があるの!?と思われるかもしれませんが、理化学研究所エビデンスを出しています

www.riken.jp

エビデンスは苗の浸漬に限られていますが、0.1%のエタノール溶液に3日ほど苗をうっすら浸漬させることで高温耐性及び乾燥耐性の付与が可能とのことです

一番お金を気にせず気楽に出来る対策かも知れません

 

その他

高温耐性資材については色々な資材が各社から販売されています

今回は毛色の違う資材を3種類ほどピックアップして紹介しましたが、探すと生産している作物にピッタリの資材があるかもしれません

また面白い資材が出たり、価格比較などをするために更新しようかなと思います

rakuten:ivy-believe-happiness:10008460:detail

 

【解説】バイオチャー(バイオ炭)という古くて新しい資材

バイオチャーという単語を聞いたことはあるでしょうか?

生物由来物質を炭化させたものを指す単語で竹炭や木炭もこれに当たります

今回はバイオチャーの施用効果や炭素貯留効果について解説していきたいと思います

 

 

 

バイオチャーが注目されるようになったキッカケ

海外の研究に端を発しており、2000年~2010年にかけてバイオチャーが農業生産にもたらす効果が分かってきました

その後、土壌への炭素貯留と農業生産効率の維持・促進についての知見が蓄積されます

現在でも地球温暖化対策の1つとして新たに注目を集めている状況です

 

バイオチャーの規格

私も調べてみて初めて知りましたが、国内における規格があります

これは業界団体(日本バイオチャー協会)が製作した規格ですが、分析法などはJIS(日本工業規格)に則っており、しっかりした規格に見えます

https://biochar.jp/standard/

 

炭素貯留効果について

バイオチャーについてはそれ自身が炭素含量の高い物質であり、生物の持つ炭素を分解されにくい形に変えて土壌に混ぜることで土壌への炭素貯留が期待できると古くから言われています

近年、炭素の排出量取引の項目にも取り入れられたため、農林水産省から施用量目安などの具体的な使用方法等が提示されています

バイオ炭の施用量上限の目安について:農林水産省

 

しかし、過去の研究事例では意外にも炭素貯留への効果を疑問視することも言われています

というのも、土壌中に存在する腐植物質の分解をバイオチャーが速めてしまう結果が得られているからです

参考文献:炭は環境にやさしくない?(NatureNEWS, 2008)

 

腐植も難分解性の有機物質でありながら、バイオチャーを混ぜることで難分解性有機物を分解する微生物活性が高まり、より分解されやすい腐植物質の分解速度が上がる可能性を示唆しています

 

 

土壌改良効果について

土壌改良効果は古くから知られており、保肥力の向上・土壌透水性/保水性の改善・微生物活性の向上等の多くが報告されています

基本的にはpHが上昇する性質のものが多いようなので、入れすぎには注意が必要ですし、粗悪品を掴まされると土壌に悪影響が出たり重金属が集積するなどの問題が懸念されます

3年程度の作物生育への効果については以下の論文が詳細に報告しています

 

水稲生産性の向上と地球温暖化緩和を目的とした籾殻くん炭の黒ぼく土水田への還元利用(小山, 2016)】

 

日本では何のバイオチャーを使用するのが良いのか?

月並みにはなりますが、作物生産している地域で発生する未利用バイオマスを使用するのが良いと考えます

わざわざ取り寄せて使用すると輸送コスト+燃料費で環境にやさしいとは言いづらくなるような気がするからです

 

例えば、水田地帯であればもみ殻が未利用で大量に余っているでしょうから、

もみ殻くん炭が良いかもしれません

 

他にも竹林や森林が近いところで伐採することがあれば竹炭や木炭など、河川敷で野焼きをするのであれば草木灰(バイオチャーの定義に入るか微妙ですが...)なども利用できると思います

 

また、下水汚泥の利用促進なども急務になっているようなので、下水汚泥炭化物なども利用が見直されて再登場するかもしれません

 

【解説】トマトのネコブセンチュウ防除

トマトは消費量も多く、単価も高いので人気の作物です

ただ、土壌病害虫による被害も多く、その中にネコブセンチュウという線虫害があります

今回はトマトのネコブセンチュウ害と対策について解説していきます

 

 

1. ネコブセンチュウの被害と言えば...

ネコブセンチュウの被害が出やすい作物と言えば果菜類(果実を収穫する野菜)ですね

特にキュウリ、ピーマン、ナス、オクラ、そして何と言ってもトマト!!

大玉、ミニトマト、マイクロなど色々な種類のトマトがありますが、いずれもネコブセンチュウの被害を受けます

トマトは下段から上段に向かって実が出来ていくので線虫害により途中で株が枯れてしまうとションボリなんて経験があるかもしれません

 

2. トマトのネコブセンチュウ害

トマトは比較的ネコブセンチュウ害に強い作物です

理由としては乾燥耐性に強い作物であることが考えられます

ネコブセンチュウによりトマトが被害を受ける場合、根っこがボコボコにされて養水分の吸収が阻害されて株全体が萎れていきます

ただ、被害を受けている途中だとやや生育が劣っているかな?ということが多いので、肥料や水を多めにあげると持ち直すことがあります

一時的に持ち直すのですが生育後期になってくると被害が甚大になり株全体が萎れて「これはおかしい...!!」と思って根を掘り上げてみるとボコボコにやられていてネコブセンチュウだー!!というパターンをよく見かけます

参考写真は以下のブログが分かりやすかったので、リンクを貼っておきます

トマト・スイカの根こぶセンチュウ 元肥で使用 |

 

3. トマトのネコブセンチュウ害対策

3.1 抵抗性品種で防ぐ

トマトは幸いにも抵抗性もしくは耐病性品種が多く出回っています

『桃太郎』系統の多くはネコブセンチュウ耐病性品種

『おどりこ』はサツマイモネコブセンチュウ耐病性品種

ということで耐病性や抵抗性品種使えば安心!!

という訳でもなく耐病性や抵抗性をネコブセンチュウは破ってきます

このネコブセンチュウを『打破系統』と言い、抵抗性を超越した新しいタイプのセンチュウを指します

トマトのサツマイモネコブセンチュウ(抵抗性品種打破系統の出現)

ネコブセンチュウは1-2ヶ月で1世代が終わるので、連作している場合などに世代数を重ねて打破系統が出現しやすい印象を受けます

 

3.2 農薬で防ぐ

トマトは人気の作物なので土壌消毒剤の他に線虫対策用の薬剤を販売しています

例えば

ネマトリンエース

バイデート

バイデート™L粒剤 | 三井化学アグロ 農薬製品サイト

などです

個人的にはネマトリンエースやネマキックは初期の苗が弱い時期の防除だけで最後まで長くは効かない印象なので栽培途中で処理できるガードホープを合わせたほうが良いかなと思います

ガードホープ液剤 | 石原バイオサイエンス

トマトで作期が長い場合は、

(定植前)ネマキックorバイデートなど⇒(栽培中)ガードホープで組み合わせて成分が異なる薬剤を処理するのが良いかなと思っています(ネマトリンエースはガードホープと同じ有効成分です)

 

3.3 低濃度エタノールで防ぐ

トマトはハウス内で栽培されることが多い作物なので、ハウス土壌を薬剤ではなく低濃度エタノールというもので消毒することが出来ます(農薬には該当しません)

主に土壌中の酸素を消費させて嫌気状態にする方法なので少々ドブ臭くなりますが効果はあります

ただし、保水力の弱い土壌や温度が低い時期だと効果が薄れる可能性もあるので使用する際には一考する必要があります

国の研究機関からもマニュアルが出ているので使用する際には参考になります

低濃度エタノールを利用した土壌還元作用による土壌消毒 実施マニュアル (第1.2版) | 農研機構

ppn-lab.hatenablog.com