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【解説】トマトのネコブセンチュウ防除

トマトは消費量も多く、単価も高いので人気の作物です

ただ、土壌病害虫による被害も多く、その中にネコブセンチュウという線虫害があります

今回はトマトのネコブセンチュウ害と対策について解説していきます

 

 

1. ネコブセンチュウの被害と言えば...

ネコブセンチュウの被害が出やすい作物と言えば果菜類(果実を収穫する野菜)ですね

特にキュウリ、ピーマン、ナス、オクラ、そして何と言ってもトマト!!

大玉、ミニトマト、マイクロなど色々な種類のトマトがありますが、いずれもネコブセンチュウの被害を受けます

トマトは下段から上段に向かって実が出来ていくので線虫害により途中で株が枯れてしまうとションボリなんて経験があるかもしれません

 

2. トマトのネコブセンチュウ害

トマトは比較的ネコブセンチュウ害に強い作物です

理由としては乾燥耐性に強い作物であることが考えられます

ネコブセンチュウによりトマトが被害を受ける場合、根っこがボコボコにされて養水分の吸収が阻害されて株全体が萎れていきます

ただ、被害を受けている途中だとやや生育が劣っているかな?ということが多いので、肥料や水を多めにあげると持ち直すことがあります

一時的に持ち直すのですが生育後期になってくると被害が甚大になり株全体が萎れて「これはおかしい...!!」と思って根を掘り上げてみるとボコボコにやられていてネコブセンチュウだー!!というパターンをよく見かけます

参考写真は以下のブログが分かりやすかったので、リンクを貼っておきます

トマト・スイカの根こぶセンチュウ 元肥で使用 |

 

3. トマトのネコブセンチュウ害対策

3.1 抵抗性品種で防ぐ

トマトは幸いにも抵抗性もしくは耐病性品種が多く出回っています

『桃太郎』系統の多くはネコブセンチュウ耐病性品種

『おどりこ』はサツマイモネコブセンチュウ耐病性品種

ということで耐病性や抵抗性品種使えば安心!!

という訳でもなく耐病性や抵抗性をネコブセンチュウは破ってきます

このネコブセンチュウを『打破系統』と言い、抵抗性を超越した新しいタイプのセンチュウを指します

トマトのサツマイモネコブセンチュウ(抵抗性品種打破系統の出現)

ネコブセンチュウは1-2ヶ月で1世代が終わるので、連作している場合などに世代数を重ねて打破系統が出現しやすい印象を受けます

 

3.2 農薬で防ぐ

トマトは人気の作物なので土壌消毒剤の他に線虫対策用の薬剤を販売しています

例えば

ネマトリンエース

バイデート

バイデート™L粒剤 | 三井化学アグロ 農薬製品サイト

などです

個人的にはネマトリンエースやネマキックは初期の苗が弱い時期の防除だけで最後まで長くは効かない印象なので栽培途中で処理できるガードホープを合わせたほうが良いかなと思います

ガードホープ液剤 | 石原バイオサイエンス

トマトで作期が長い場合は、

(定植前)ネマキックorバイデートなど⇒(栽培中)ガードホープで組み合わせて成分が異なる薬剤を処理するのが良いかなと思っています(ネマトリンエースはガードホープと同じ有効成分です)

 

3.3 低濃度エタノールで防ぐ

トマトはハウス内で栽培されることが多い作物なので、ハウス土壌を薬剤ではなく低濃度エタノールというもので消毒することが出来ます(農薬には該当しません)

主に土壌中の酸素を消費させて嫌気状態にする方法なので少々ドブ臭くなりますが効果はあります

ただし、保水力の弱い土壌や温度が低い時期だと効果が薄れる可能性もあるので使用する際には一考する必要があります

国の研究機関からもマニュアルが出ているので使用する際には参考になります

低濃度エタノールを利用した土壌還元作用による土壌消毒 実施マニュアル (第1.2版) | 農研機構

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