農業LABブログ

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【対策】サツマイモ基腐病【23.8.20版】

今回はサツマイモ基腐病についての記事です

まだクリティカルな対策はありませんが、登録農薬が増えたのでリライトします

 

 

発生と拡大傾向

昨年までは九州のみで発生が確認されていたサツマイモ基腐病(もとぐされびょう)ですが、今年になって関東全域にまで広がりを見せています

昨年、報告が上がってきて、「九州では変な病気が流行ってるな~」と対岸の火事として呑気にみていた方が多かったと思います

恐らく、全国の産地に広がる病気なのではないでしょうか

2023年の1月の段階では北海道から沖縄の30都道府県で発生しているようです

 

www.pref.ibaraki.jp



症状と原因

症状としては葉が繁茂する時期に株元が褐変・黒変してイモの品質・収量が低下するという被害が生じます

原因菌は特定されており、カビの一種(Diaporthe destruens、ディアポルテ・ディストルエン)です

柑橘や大豆の黒点病の原因菌に近縁の種類ですが、サツマイモでは今まで報告されていなかった症状です

実際に初発レポートが出たのが2021年1月なので非常に新しい病気ということが分かります

Foot rot disease of sweet potato in Japan caused by Diaporthe destruens:  first report, pathogenicity and taxonomy | SpringerLink

引用元

link.springer.com

 

防除対策

農薬

・ベンレート水和剤

・トリフミン水和剤

 苗の消毒は徹底すべきで最も効果が得られます

 

・Zボルドージーファイン水和剤、アミスター20フロアブル

圃場での予防的な散布

効果がいまいちな印象でデータを見ると完全には被害が止められないことが分かります

あと、アミスターは薬害が出やすいので混用や展着剤含めて散布する際は少し気に留めておく必要があります

 

・フロンサイドSC、フロンサイド粉剤、フリントフロアブル25

圃場での予防的な散布

フリントフロアブルはアミスターと同系統なので連用してはいけません

耐性菌の発生予防に努めましょう

[rakuten:otentosan:10008267:detail]

[rakuten:nou-nou:10003215:detail]

 

この他に土壌消毒のデータも出ていましたが、完ぺきには抑えられません

カビなので胞子や耐久態がしつこく残るようです

 

品種の選定

品種の間で原因菌に対する抵抗性が違うことが報告されています

こちらもメインの対策にはならないと思いますが、使用している品種によってどのくらいリスクがあるのかは認識しておく必要があるでしょう

基本的には圃場への新規持ち込みを抑えるためにウイルスフリー苗が推奨されます

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引用:サツマイモ基腐病防除対策マニュアル(第2版) 

 

基腐病の悲しさ

水田転換畑の作物としてサツマイモが検討され続けてきた中での本病害の発生

ネコブセンチュウや病害虫を水田湛水で消毒できると言うメリットがありながら、難防除の病害が発生するとは...

これからクリティカルな対策が出ることを祈っています

 

【趣味】土の中の生き物観察

昨日に引き続き、あんまりタメにならない記事です

 

土の中の生き物の魅力に引き寄せられて早15年

昨日、動画を投稿するのにyoutubeの管理画面開いたら色々と昔に投稿してました

備忘録としてこちらにも転載しておこうかなと思います

 

土の中のダニやトビムシ、土壌動物は基本的に人間には無害です

どちらかと言えば、土壌中の有機物を分解してくれる働きがあるので、

人間にとっては上手く付き合っていきたい生き物でもあります

 

 

 

ウズタカダニ(?)

これは切り株の上にいたササラダニですね

通常は土の中で枯れ葉や枯れ枝など食べてますが、

たまに木の皮が剝がれたところなどでも見かけます

www.youtube.com

 

カニムシ

ちいちゃいサソリみたいな生き物ですが、れっきとした土壌中の生き物です

主に森の中の土で見かけます 畑にはあんまりいないんじゃないかな

www.youtube.com

 

コソデダニ

こちらもササラダニの一種で土壌中では分解者です

マルっとツヤツヤで結構好きなタイプのササラダニ

www.youtube.com

 

マルトビムシ

白くて小さくて、個人的にはウサギっぽいなと思って眺めてました

ササラダニは全体的にガチッとしてて重戦車感が強いのですが、

トビムシはシュッとしててシャープなものから、このトビムシのようにマルマルしてて愛らしい種類まで様々です

www.youtube.com

 

撮影方法

最初の動画はミラーレスとマクロレンズ

それ以外は安いマイクロスコープでどこまで撮れるか試したものになります

昔は撮影するのにPCとマイクロスコープ繋いで撮影してましたが、

今はスマホwifiで繋げるんですね 進歩したなぁ。。。

とりあえず安かったので、玩具として同型のマイクロスコープを購入してみました

画質にこだわらず、観察メインだったら問題ないかな~と思います

また、撮影したら動画をyoutubeにでもあげようかな

(別に誰も見ないんですけど、資料としては貴重なので...( ˘ω˘ ))

皆さんもお庭や森で使ってみるとミクロの世界の虜になるかもしれませんよ

 

 

【趣味】梅の根元からとれた植物寄生性線虫(2021冬)

完全に趣味の記事です

農業関係ないですが、クネクネ動画見たい方は是非( ´艸`)

 

 

土の中でカビを食べる線虫です左上が頭で透けた頭の中に針が見えます

この針を菌糸に刺して細胞の中の液を吸います

youtu.be

 

ネコブセンチュウも出てきました

畑にもいたし、少し隔てた梅の根元にもいたかぁ( ;∀;)

youtu.be

 

ピンセンチュウ 畑でもたまに出てきます

植物に寄生しますがほとんど問題にならない線虫 口針が長ーい

 

不明の植物寄生性線虫

主要な植物寄生性線虫ではないと思われる

なんだろう... 気になる...

www.youtube.com

 

 

【実験】家庭菜園の線虫診断

今年から借りてる家庭菜園の畑を線虫診断してみました

 

結論:2種類の有害線虫が侵入済みでした_(:3 」∠ )_

 

 

線虫診断の手順

土壌の採取

栽培してる作物の株間から50gくらい土を採取してジップロックに入れます

土の表面5cmくらいは乾湿の差が大きく線虫がいたりいなかったりするので、除けて大体いつも湿り気のある層を採取します

雨の後は線虫が下層に流されている可能性があるので、降雨後24時間は採取しないようにしましょう

今回はネギの株間から土を採取しました

↓移植用のコテは垂直方向に土が取れて良いかなと思います

 

線虫の抽出

線虫はベルマン法という操作で抽出します

土を10-20gティッシュペーパーにくるんで

茶こし・漏斗・シリコンチューブ・1.5mlチューブを組み合わせたものの中に水道水を満たしてティッシュペーパーで包んだ土を浸すだけ

あとはラップをかけて2-3日放置します

 

↓図解だとこんな感じです

 

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引用:Approaches to Studying Soil Fauna and Its Functional Roles (Chapter 3) - Soil Fauna Assemblages

 

↓実際の抽出状況はこんな感じ

大体100均の商品で材料は揃います

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↓100均やホームセンターで揃わない材料は通販で買えます

顕微鏡観察

生物顕微鏡で観察します

見分けはある程度プロの技ですが、大体2-3ヶ月見続けてると特徴から違いが分かり、10年くらいやってると犬・猫くらいの違いで見分けられます

↓機材はこんな感じですかね

 

線虫の特徴を見分けるのに市販の本も購入したりしてますが、以下のURLリンクのPDFが写真付きで主要な線虫の写真を載せてくれてるので、図鑑や書籍の購入は必要ありません 色々な実験法も載せてくれてるのでオススメです٩(๑′∀ ‵๑)۶

www.naro.go.jp

 

診断結果

4サンプル分析してどのサンプルにもネグサレセンチュウ、ネコブセンチュウが検出されました 密度にばらつきはあるけど、どこにでもいるんだろうな...

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図 筆者家庭菜園から検出された線虫種とその密度(平均値±標準偏差, n=4)

 

ネグサレセンチュウは1-2頭/20gいたら大根ですと防除水準

ネコブセンチュウは3-10頭/20gいたらきゅうりやピーマンだと防除水準

です(確かそうだったと記憶してます...)

 

↓検出されたネグサレセンチュウ

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都道府県が害虫の防除水準を設定している場合があるのでご参考に

www.jppn.ne.jp

 

お仕事でやるとこの後に対策方法の作成が入るのですが、どうせいるなら増やして実験でもしようかなと思案中です まさか借りた畑が複数種の混発圃場だとは...

 

後日談

隣接したところにミニトマト植えてたなぁと思って、ちょうど霜でやられたので根を掘り返してみました

 

↓見事にネコブセンチュウにやられてコブが出来てました

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夏にオクラとエダマメも植えたのですが、生育初期で枯死しました

定植のストレスかなぁ?と思ってたのですが

もしかしたら、ネコブセンチュウとネグサレセンチュウにやられてしまったのかも

 

せっかくなので眉唾な線虫対策資材の実験でもしますかね

 

↓根の撮影は相棒のTG-5の深度合成モードで撮影してます

 

【解説】植物は『お酢』で強くなるのか?

家庭菜園などで農薬の代わりに使われる『お酢(酢酸)』

 

色々な雑誌で取り上げられ、ホームセンターなどでもお酢由来の製品として販売されていますね

 

 

今回はこの『お酢』で植物がどうやって強くなるのかを見ていきたいと思います

 

 

お酢(酢酸)』は植物が合成するストレス適応のための物質

植物がストレスを受けると、体内で酢酸を合成します

何故、酢酸を合成するかというと、『ジャスモン酸』合成させるための信号の役割を酢酸が担っているからなんです

参考ページ:酢酸を使って乾燥ストレスに打ち勝つ植物の生存戦略とは | academist Journal

 

 

『ジャスモン酸』ってなに?

ジャスモン酸は植物がストレスを受けると、そのストレスに応答して出てくる物質です

このジャスモン酸が合成するためのスイッチが酢酸です

ジャスモン酸はさらに他の物質を作るための信号となり、植物が持つストレス耐性に関する働きが強化されます

ja.wikipedia.org

 

お酢(酢酸)』で植物が強化されるメカニズム

体内で酢酸は合成されますが、それはストレスを受けた後になります

そのため、ストレスを受ける前に酢酸を植物に撒いて吸収させて、ストレスに応答するメカニズムを動かしてしまおう!という発想でお酢の資材が開発されました

 

お酢(酢酸)』で何のストレスに強くなれるのか?

乾燥

一番有名なのは乾燥ストレスに対して強くなることです

乾燥のストレスを受けると同様のメカニズムが働きますが、先に酢酸をまいておいておくことで、ストレスに対する応答を潤滑にすることが報告されています

植物にお酢≒乾燥のストレスと勘違いさせて、応答を覚えさせるとも言い換えられそうです

 

病害虫抵抗性

お酢をもとにジャスモン酸が出ると病気や害虫に対して抵抗性を持ちます

ジャスモン酸からさらに誘導される植物体内の物質を病気や害虫が嫌うようで、虫よけ・菌よけになるというのが今のところ分かっているところです

主に

・ハダニ

・アブラムシ

・コナジラミ

・灰色カビ病

うどんこ病

・(アザミウマ)

で効果があるようです

※()は酢酸ではなくジャスモン酸濃度の直接上昇で忌避が確認されています

また、ジャスモメートというジャスモン酸を直接使用したホルモン系の農薬でトマトのアザミウマに対しての適用があるので、ジャスモン酸をどうやって出させるかがカギなのは確かなようです

 

酢酸資材の使用感と害虫忌避試験の感想

ネギに発生した害虫で酢酸資材を使ってみましたが、少し酸っぱいにおいがするくらいでほとんど気になりませんし、葉に汚れなども残りませんでした

ただ、害虫の被害の違いはあまり分からなかったです

資材にはネギの適用は書いてなかったので何か折り合いが悪いのでしょう

恐らくですが、ネギの葉はワックスが強く、水を良く弾くのでうまく葉っぱに乗らず吸収されなかったのではないかと推測しています

このため、全ての作物にお酢が使えるかというと、葉の性状で効果に差が出るかと考えています

また、ラベルには2-3日おきに散布する必要があると書いてあるので、乾燥ストレスのように一度まくと一定期間ストレス応答を覚えてくれる、というよりは病害虫に関しては回数を重ねて忌避物質を蓄積させていく必要があるのかなと思いました

 

まとめ

お酢は身近な材料であり、安全性なども問題ない食品なので植物に使うのに抵抗感がないと思います ただし、効果については植物の種類や品種によって差がでることが予想されます

この差をなくすために展着剤(葉への吸収をよくしたり濡れやすくするような材料)の使用も考えられます

実際にやさお酢という製品にはキシリトールや乳化剤などが入っているので、葉への吸収を増加させたり濡れ効果を上げるような工夫がされているように思います

 

 

【解説】日本の植物寄生性線虫

日本で被害を出す線虫3種類について書きました

「線虫」とひとくちに言っても色々な種類、生態、被害があります

 

 

 

ネコブセンチュウ

どんな生き物なのか?

よく聞く線虫ですね

世界的にもネコブセンチュウは作物被害の頂点です

 

↓下の写真のように根っこをボコボコにして作物の養分や水分の吸収を阻害します

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↓どんな線虫かというと、もともとはにょろにょろした線虫の形をしていまして、根に入って植物から水分や栄養を奪います

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↓その後に成長していき、大量に卵をお腹の中にため込んでふっくらと膨らみます

こちらの写真は根っこを切開して、膨らみかけの線虫を取り出しました

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↓膨らんだ後に根っこからおしりを出して、「卵のう」というゼリーの中に卵を数百個含んだものを土の中に産み落とします(見やすくするために赤で染色してます)

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そして、そのうち卵からふ化したにょろにょろの線虫が再び根っこに寄生するという生き物です

 

何に寄生して被害を出すのか?

大体の植物には寄生しますし、雑草でも増えます

作物としても大体のものには寄生しますが、「感受性」といってネコブセンチュウに寄生されるとダメージを受けやすい作物や人間側の都合で見栄えが悪くなり、商品価値が下がるといった被害が出ます

 

果菜類ですと

・きゅうり

・ピーマン

・オクラ

などは寄生されるとダメージを受けやすいです

 

商品価値が下がる作物としては根菜類が多くて

・サツマイモ

・ニンジン

ヤマノイモ

などでこぶ状の被害痕が残るので商品価値が下がります

その他、大豆や無花果(いちじく)など幅広い作物に寄生して収穫量を減らします

 

何が厄介なのか?

ネコブセンチュウは卵がゼリー状の物質に包まれており、土に入ると土の粒子がゼリーにくっつきます

そうしますと卵のうは泥団子状態になるので、乾燥や薬剤から守られ、普通の線虫よりも環境耐性が高く、なかなか畑からいなくならないという厄介さがあります

また、作物を変えても大体の作物には寄生できますし、雑草でも増えることが出来るため一度畑に入ると根絶が難しい種類の線虫になります

この線虫が入った畑では、薬剤や緑肥、作物の輪作などを組み合わせて彼らとの上手い付き合い方を模索しなくてはいけません

 

どうやって付き合っていくのか?

作物によりますが、有名な線虫なので各社から薬剤が販売されています

 

後は緑肥としても色々な種類のものが開発されていますので、栽培時期がうまいこと合えば頼もしい武器になります

 

意外と作物の感受性が弱いと被害がでないので、知らないうちに畑に入って繁殖していることがありますので、作物の栽培が終わったら、一度根っこを観察してみることをオススメします

 

↓作物の根っこの観察記事はこちら

ppn-lab.hatenablog.com

 

シストセンチュウ

どんな生き物なのか?

人によっては聞く名前かも知れません

というのも、シストセンチュウは作物を選んで寄生するエキスパート型の線虫です

通常は土の中に『シスト』と呼ばれる耐久状態で存在しています

↓写真の茶色い粒が土から取り出したシストです

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この中に卵が200-400卵ほど含まれています

↓シストを割るとこんな感じに卵がどっさり入ってます

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↓線虫の卵はこんな感じ、線虫自体が折りたたまって入ってます

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その後、作物の根から分泌されるふ化促進物質の刺激を受けて卵からかえって土の中に出ていきます

 

土の中に出ると根に寄生して養分・水分を植物から奪い、卵をお腹に抱えたまま根っこから出てきます

↓白い粒がシストです、この後に褐色になって土の中に脱落します

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何に寄生して被害を出すのか?

シストセンチュウは種類によって寄生できる作物が決まっています

例えば、国内の主要線虫ですと、

ダイズシストセンチュウ:ダイズ、エダマメ、アズキ、エンドウマメなど

ジャガイモシストセンチュウ:ジャガイモ、ナス科作物

とネコブセンチュウと比べるとかなり限定的です(相当の偏食家といえます)

 

何が厄介なのか?

シストセンチュウは畑に入ると12-20年は土の中で生存できると言われています

それも、固いシストという元お母さんが殻となって守っているおかげです

また、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウと比較して、薬剤耐性も高いため非常に防除が難しい線虫の種類です

被害もネグサレセンチュウやネコブセンチュウよりも、かなりダイレクトに収量に響きます 畑でまん延するとほぼ全滅とみて間違いない強烈な線虫です

 

↓真ん中左上あたりに色の薄い部分があると思います

  はじまりはこのように畑の一部で生育不良が発生します

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どうやって付き合っていくのか?

ジャガイモシストセンチュウは北海道と長崎の一部地域のみで発生しており、防疫所が管理しています そのため本州で問題になるのはダイズシストセンチュウのみと考えて良いと思います

薬剤耐性は高いものの、効果があるとされる農薬はありますので、やっぱり薬剤防除でしょうか ラグビーやバイデートはいずれのシストセンチュウにも登録がありますし、昔ながらのネマキック粒剤も登録があります

ネマトリンエースはなぜかダイズ・エダマメには登録がなく、アズキだけなので注意しましょう

 

緑肥もダイズシストセンチュウに対抗するものがあるのでおすすめです

クローバー類、クロタラリアなど栽培時期が選べるラインナップが揃ってます

 

 

ユニークな方法としては『リョクトウすき込み法』というものがあるので、以下のURLを見てください 緑肥栽培と比べて短期間、農薬と比べて低コストで出来ます

https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/h27kakushin/chiiki_2019_result-c035-01.pdf

 

 

この線虫も一度入ってしまうと、長い付き合いになるので毎年のルーティーンとして防除対策を講じ続ける必要があります

 

ネグサレセンチュウ

どんな生き物なのか?

ネグサレセンチュウは他の2種類と違って根の中を出たり入ったりします

ネコブセンチュウとシストセンチュウは一生のうちの大部分を根の中で過ごすのに対して、ネグサレセンチュウは養分を貰いに根に入り、養分を得たら根の中もしくは土の中で卵を産みます

また、土の中にいるステージ(生育段階)も様々で色々な大きさのネグサレセンチュウが観察できます

口針は太く、頭の先端にキャップ状の構造が見えるのが特徴です

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www.youtube.com

 

何に寄生して被害を出すのか?

ネグサレセンチュウは多くの植物に寄生できるので被害を受ける作物も様々です

有名なところでは根菜類が多く、主に品質の低下が問題になります

・ダイコン

・ゴボウ

サトイモ

などがあります

この他にもキクやイチゴで被害の出る種類のネグサレセンチュウがあり、国内では被害が大きい線虫種になっています

↓大根のネグサレセンチュウ被害例

www.jppn.ne.jp

↓いちごのネグサレセンチュウ被害例

www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp

 

何が厄介なのか?

ネグサレセンチュウは目立った被害の出ない作物にも寄生するので、数%~20%くらいの収量減を引き起こしているケースがあります

ダイズシストセンチュウやネコブセンチュウですと、葉の黄化や枯れあがり、根の変形など症状が分かりやすいので異常を発見できます

しかし、ネグサレセンチュウは見た目が健全で少し作物が弱るくらいの被害が多いので発見が遅れる、もしくは気づかず長きに渡って収量をかすめ取っていくような性質があります

 

どうやって付き合っていくのか?

ネグサレセンチュウはネコブセンチュウ、ダイズシストセンチュウよりも薬剤耐性が低いので、農薬を使用することで高い効率で防除できます

一例をあげますと以下の通りです

ただ、登録されている作物が限定的なので、緑肥を使用することもあります

緑肥としては以下のものがあります

↓花がつかないマリーゴールドエバーグリーン(オオタバコガの誘引回避)

あらゆる線虫に対してほぼ無敵です

 

↓ネコブセンチュウとネグサレセンチュウ両方に効果のある優秀な緑肥:ギニアグラス

 

緑肥も品種によって倒せる/倒せない線虫があるので、きちんと調べて購入することをおすすめします

【解説】有害線虫はどうやってあなたの畑に入るのか

タイトルの通り、どうやって自分の畑に悪い線虫がやってくるのかというお話です

 

 

 

 

線虫は歩いてこない

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イラストのように線虫には足が生えていませんから、

線虫自らがあなたの畑を訪問することはありません

ほとんどは人が原因で入ってきます

ではどのように侵入してくるのでしょうか?

 

農機具の貸し借り・よその農家さんの出入り

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可能性が高いのがこれです

農機具を貸し借りした場合、丁寧に土を落とさずに貸してしまった

仲の良い農家さんが「今年は調子どう?」と作業中に泥付きの長靴のまま畑に入って来てしまった

その土の中に有害な線虫がいて、侵入・定着してしまうというパターンです

 

 

通販で作物の苗を購入して植えた

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ネットショッピングが当たり前の時代になって、色々な作物の苗が簡単に手に入るようになりました

きちんとした育苗業者であれば良いのですが、良くわからない業者がいるのも事実

ましてや海外の苗を個人で輸入販売している場合は要注意です

輸出入の検疫を受けているか(証明書があります)、育苗時に消毒した培土を使用しているか確認しましょう

 

 

観光客が畑に出入り

春~秋にかけては目に鮮やかな花畑になるところもあるでしょう

そこには遠目に見るだけでは満足できず、畑の中に入ってきて撮影会をしてしまう方もいらっしゃいます 何軒の畑をはしごしているか分かりません 靴についた土から侵入します

SNSで拡散するのは良いですが、線虫まで拡散されたのではたまりません

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観光シーズンに限らず立ち入り禁止の看板などで対処しましょう

 

まとめ

線虫の畑への侵入は人の出入りや種苗などが原因なので防ごうと思えばある程度は防げます

一方で畑を借りる際にすでに侵入・定着してしまっていることもあるので、その場合は分析機関に依頼するか、ご自分でプランター分の土をもらってきて予定作物を栽培して被害が出ないか確認するなどもひとつの手段です