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【解説】海藻資材の多彩な効果【バイオスティミュラント】

海藻由来のバイオスティミュラントは世界で使用されているBSの1/3程度を占めています

その圧倒的なシェアを誇る海藻由来のバイオスティミュラントの効果についてみていきたいと思います

 

 

 

 

 


1. 海藻由来の資材とその使用方法は?

堆肥化物、抽出液、抽出粉末の形態があり、現在流通している多くのBSは抽出液や粉末の形態をとって販売されています

使用方法としては種子浸漬、葉面散布、土壌混和など様々な使用方法があります

 

 

2. 期待される効果は?

効果として発芽率の向上、養分吸収の増強、病害抵抗性、霜害耐性、果実の成熟度向上、貯蔵期間の延長、品質の改善、土壌のコンディション維持など効果も多岐にわたります

 

3. 海藻のなにが効果をもたらすのか?

海藻には微量要素や有機化合物(アミノ酸、抗菌物質、オーキシンジベレリン、サイトカイニン様物質、ビタミン)などが含まれており、これらの物質が複合的に作用していると考えられます

ただし、微量要素に関してはミネラル欠乏条件下にのみ効果を出すのでは?という見解もあり、主に効果を期待する物質としては有機化合物の方がメインになっているケースが多いようです(個人的には日本でBSの効果がいまいち出ないのは肥料条件や土壌の肥沃度、気象条件の変化が緩やかなどの要因で微量要素の効果が出にくい気がしています)

製品によって抽出方法や精製方法が異なるため、同じ原料を用いてもメーカーによって有効成分やその種類が異なり、効能に差が出ることが推測されます

 

4. 具体的な効果事例

以下の効果事例はZodape(2001)からの引用になります

4.1 増収の事例

イチゴ:14.8~31.9%増加

カブ:25%増加

キュウリ:41%増加

ジャガイモ:20%増加

バナナ:22%増加

トウモロコシ:6.2~29.4%増収

トマト:20%増加

また、ササゲ(マメ科作物)の生育を追った実験では植物体全体の生育量が増加し、窒素とリンの吸収が高まったことが報告されています

 

4.2 保存期間に対する影響

モモにおいて木に葉面散布処理を行うことで収穫後の21日の保存期間において対照区では50%以上の果実が販売不可の品質になったのに対して、処理をした果実は20%以下の販売不可率であったことが報告されています

このケースではより早い生育ステージでの処理、開花期よりも生育期の終盤に処理をした場合に結果が良かったとのことで、なお品質への影響は小さく純粋に保存期間が延長されたという結果でした

同様にモモの事例で収穫後60日で無処理区で32.2%の果実が腐ったのに対して、処理区では14.7%の腐敗に留まったことや、

西洋リンゴにおいても収穫の2~4週間前に施用することで保存期間中の固さや見た目に顕著な違いが生じたとされています

コショウでも23℃8日間暗条件下で保管したところ、対照区では全て販売不可になっていたが、処理をした場合は固さや色合いなど全て販売可能な状態であったなどの報告もあります

 

5. おわりに

これ以外にも様々な検証が行われており、土壌のコンディショニングや共生微生物との共生率を向上させるなど、様々な効果が報告されています

そのため、本ブログで取り上げたのは一例であり効果を網羅しきれているとはいえません

様々な効果を発揮する物質を含む魅惑の海藻資材といった感じでしょうか

ご興味のある方はお気に入りの海藻資材を探してみるのも良いかも知れません