挑戦的なタイトルですいません
ただ、やはり日本の線虫問題はここに集約されます
このあたりについて書いていこうと思います
1.『線虫』のことを私たちはまだ知らない
私たち、とりわけ農業を勉強された方は『線虫』って聞くと『悪い虫だ!』と反射で嫌悪感を抱くように教育されています(Gに対する嫌悪感に近いものを感じます)
何故かというと無害な線虫については勉強する必要がないからです
だって農業で戦う準備をしなくてはいけないのは、植物寄生性線虫のみだからです
ただ、以下にツイートしたように土の中にはいっぱいの種類の線虫が住んでおり、個体の90%以上は無害な線虫です
『線虫』っていうと基本悪い虫みたいに思われますが、土の中にいる線虫のほとんどは細菌や糸状菌、線虫を食べる線虫(!)などで農業上無害です 線虫がいっぱいいるから悪い土!なんて思わないでくださいね#農業#線虫
— 【公式】農業LAB (@agri_soil_nema) 2020年3月14日
堆肥などの有機物を入れた直後の土は細菌が爆発的に増えるので、細菌を食べる線虫も爆発的に増えます 細菌を食べた線虫は排泄行為もしますので無機化(肥料成分へ
の転換)の担い手でもあるのです
2.線虫を知る人は...
第2に線虫を専門に勉強している方が少ないことがあります
日本線虫学会(http://senchug.org/#about)という国内学会があり、こちらには220名程度加入(2019年度現在)しています。
(あれ?意外と多くね? 都道府県あたり4-5人は専門家がいる計算になるじゃん!)
しかし、全員が農業上の線虫診断・防除のスペシャリストではなく、実験(線虫がん検診的な雰囲気)の材料として線虫を使っているだけだったり、昆虫と線虫の共生関係を研究している生態学者の方だったりします(マツノザイセンチュウとか)
いい加減な推計で申し訳ありませんが、仮に1/5程度が診断と防除のスペシャリストだとしても40人くらい、都道府県に1人以下の配置となります
また、専門家がどこにいるかなんて一般の生産者の方が知るはずなく、相談をどこに持っていけばよいかなんて分かるはずもなく...
ここに専門家と生産現場の断絶があります
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3. そんな防除で大丈夫か?
最後に対策手法開発の問題があります
一般に線虫対策は農薬となりますが、国内メーカーは積極的に殺線虫剤の開発に取り組んできませんでした(一部得意とするメーカーさんもいます)
何故かというと2で書いたような理由で開発のインフラを持てないのと、線虫問題はそこまで大きな市場にならないだろう(笑)という感覚があったからだと私的には推測します 昆虫ともカビや細菌とも違う線虫 その専門の人を雇って試験系を立ち上げていつ当たるかもわからない薬剤開発に巨額の投資をする そんなリスキーな経営に舵を切るのは到底難しいでしょう
ここ最近の新剤の開発をみても外資のメーカーが精力的です
これは海外で線虫問題を深刻視しており、本国での開発が盛ん⇒日本へ適用拡大の流れがあるものと考えられます
他にも緑肥や有用微生物を使用する防除もありますが、効果的な使い方を出来る方が少なく、その効果判定をどのようにすべきかも分からない
誰に聞いたものかも分からない そんな状況が日本にはあるのです
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という状況を私がみてきまして、今のまま線虫に関わっていても多くの人のためにはならないなと感じ、普及活動としてTwitterとブログをはじめてみました
勤め人でもあるのでユルユルとですが今後も書いていこうと思います
よろしければ気長にお付き合いください